不動産業者でも誤認が多い手付金等の保全措置と手付金額!手付金と中間金の違いとは?
重要事項説明書に「手付金等の保全措置の概要」という項目があります。
宅建業者が自ら売主となる不動産の売買で、一定の額を超える手付金等を買主から受け取る場合に義務づけられている保全措置について説明する項目です。
例えば、売買契約を結んだ後に手付金等を受け取った宅建業者が倒産するなどで、宅建業者ではない買主に手付金が返還されないなどの不慮の損失を保護するための措置です。
そこで今日は、「不動産業者でも誤認が多い手付金等の保全措置と手付金額!手付金と中間金の違いとは?」について書いてみたいと思います。
筆、新築一戸建て購入応援「仲介手数料・無料・0円・ゼロ・サービス」の加古川の不動産売買専門会社、未来家(みらいえ)不動産株式会社、代表、清水 浩治
手付金と中間金(内入金・内金)と違い
手付金は、売買契約の締結時に、買主から売主に支払われる金銭のことです。
手付金には、その授受が売買契約の成立を表す「証約手付」の意味がありますが、このほかに、相手方の債務不履行の有無を問わず解約権を認める「解約手付」、相手方に債務不履行があった場合の損害賠償の予定、違約金とする「解約手付」の性格があります。
ここで知っていて欲しいのが、
手付金は、支払ったその時点では売買代金の一部が支払われたことにはならない、ということです。言い換えると「手付金は売買代金の一部ではない」のです。もちろん、残代金の支払い時には売買代金の一部に充当されます。
これに対し、中間金(内入金・内金)は、買主から売主に対して売買代金の一部前払の趣旨で支払われる金銭になります。つまり「中間金は支払われた時点で売買代金の一部に充当される」ということです。
売買代金の一部に「充当されるのか、されないのかが」が、手付金と中間金(内入金・内金)の大きな違いになります。
宅建業者が自ら売主となる場合の手付金の上限
宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者でない場合、売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2(20%)をこえる額の手付を受領することはできません。
もし、代金の10分の2(20%)を超える額を手付金として請求されても、売主である宅建業者は、代金の10分の2(20%)を超える部分の受領権限がないので超過部分を請求することはできないのです。
そのことを知らずに買主が超過部分を支払ったとしても、超える部分については無効になり、法律上の原因がない不当利得となりますので、買主は超過部分を返還請求することができます。
また、宅建業者が手付金を受領したときは、
その手付金がいかなる性質のものであっても、その相手方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付金を放棄して、宅建業者である売主は買主に、その倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができます(解約手付)。
手付金等の保全措置
まず、「手付金等」とは、売買契約締結から物件の引渡し前までに買主が支払う金銭のことで、「手付金・中間金(内入金・内金)」のことです。
次に「手付金等の保全措置」とは、宅建業者が自ら売主となる場合、住宅などの売買契約後、売主の倒産などで物件の引き渡しができなくなった場合に、支払った手付金等が買主に返還されるための措置です。
売主である宅建業者が、売買契約に伴い買主が支払った「手付金」や「中間金」などの返還を保証する保全措置を講じなければならない「手付金等の額」は次のように定められています。
<保全措置が必要な手付金等の額>
◆未完成物件の場合
手付金等の額が、代金の5%を超える場合、または、1,000万円を超える場合
◆完成物件の場合
手付金等の額が、代金の10%を超える場合、または、1,000万円を超える場合
※手付金等の額が上記の金額以下の場合や、すでに買主への所有権移転登記がなされた場合は、保全措置をとらなくてもいいこととなっています。
<保全措置の主な方法>
◆金融機関や保険事業者との間で、保証委託契約または保証保険契約を結ぶ
◆指定保管機関との間で、手付金等寄託契約を結ぶ(手付金等は指定保管機関に保管)
不動産業者でも誤認が多い「手付金等の保全措置」と「手付金額」
買主保護の観点から、宅建業法では「宅建業者は代金額の10分の2(20%)を超える額の手付を受領することができない」と定めています。
例えば、
代金4,000万円の完成物件で、手付金1,000万円を受領しようとしています。
手付金等の保全措置では、1,000万円以下でも代金の10%を超えていますので、保全措置を講ずれば受領することができる、と誤認している不動産業者がいます。
つまり、
手付金額が代金の10分の2(20%)である800万円を超えていますので、保全措置を講じる以前の問題で、そもそも、1,000万円を手付金として受領することができません。
宅建業者は、手付金の額が「保全措置が必要な手付金等の額」以下であったとしても、代金の10分の2(20%)を超える手付金を受け取ることはできないのです。
また、手付金の額が「保全措置が必要な手付金等の額」を超え、保全措置を講じたとしても、代金の10分の2(20%)を超える手付金も受け取ることはできません。
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