国土交通省の見解!住宅ローン斡旋手数料・融資斡旋手数料・ローン代行手数料、名目に拘わらず処分対象に
お盆休みの期間中に、こんな相談メールをいただきました。
要約すると「融資斡旋手数料という名目で110,000円(消費税込)を請求されているのですが、支払う必要はあるのでしょうか?」
その時に回答させていただいた内容をお伝えしたいと思います。
住宅ローン斡旋手数料に関するご質問件数は一時期減っていたのですが、また少しずつ増えてきたような感じています。
そこで今日は、「国土交通省の見解!住宅ローン斡旋手数料・融資斡旋手数料・ローン代行手数料、名目に拘わらず処分対象に」について国土交通省が示した見解を基に書いてみたいと思います。
筆、新築一戸建て購入応援「仲介手数料・無料・0円・ゼロ・サービス」の加古川の不動産売買専門会社、未来家(みらいえ)不動産株式会社、代表、清水 浩治
相談メールを送るに至った経緯
ある不動産業者の仲介で購入を検討している一戸建てがあり、購入するための諸費用明細を見せてもらったら、そこに「融資斡旋手数料」という名目があったそうです。
ご相談者は「仲介手数料以外にもこの融資斡旋手数料を請求する根拠を教えて欲しい」と質問したところ、
営業担当者は「当社の規定ですので支払ってください」と回答したそうです。この営業マンは会社の上層部から、請求するものだとしか教えられていないようでした。
営業所の責任者らしき人が出てきたので、同じ質問をしてみたのですが、融資審査がスムーズに通るためです、とか、金利優遇を受けるためです、契約を円滑に進めるためです、といったような回答で、支払わなければならない根拠は示してくれませんでした。
腑に落ちないご相談者は、ネットでいろいろ調べられ未来家不動産の以前のブログを見つけて相談のメールを送られたそうです。
ご相談者が見つけられた以前のブログ記事です
住宅ローン斡旋手数料は違法 国土交通省
不動産業者の中には「住宅ローン斡旋手数料」という名目で、金融機関に住宅ローンを申し込むサポートの対価として請求しているところがあります。
宅建業法では不動産仲介の成功報酬(仲介手数料)としては「上限額を成約本体価格×3%+6万円+消費税」と定めているのですが、
仲介手数料以外に「住宅ローン斡旋手数料」を請求することが違法かどうかについては、どこにも明示されていませんでした。
令和4年7月26日付の住宅新報に、関東の不動産会社が国土交通省に法令照会を行ったときの記事が掲載されていました。
その内容は、国土交通省の見解として「仲介手数料とは別にローンあっせん手数料を受領することは法令に抵触する可能性がある」というものです。
国土交通省の見解「別途報酬の受領は法令違反」
令和4年7月26日付の住宅新報の記事を一部抜粋して引用します。
不動産売買における媒介(仲介)時に、宅地建物取引業者が買主に対して売買代金の融資に向けたあっせん、媒介、取り次ぎを行う〝ローンあっせん等〟は、宅建業の現場で広く行われていることだろう。
しかし、その際の報酬の内容などによって、法令に抵触する可能性があることは十分に認知されているのだろうか。
4月28日付で国土交通省不動産・建設経済局不動産業課が提示した法令照会への回答は、この〝ローンあっせん等〟の宅建業法上の位置付けに関する同省の見解を明確化したものと言える。
その詳細と背景について、同課担当者や法令照会を行った企業の代表に話を聞いた。
今回の法令照会(法令適用事前確認手続紹介)は、トービル(東京都中央区)が照会者となって実施されたもの。照会内容は要約すれば「不動産売買媒介時に媒介契約で取り決めた媒介報酬以外にローンあっせん等の手数料を受領すると、宅建業法で処分される可能性があるか」。
これに対する同省の回答は「その業務の内容、態様により、宅建業法65条2項および4項(共に業務停止処分)の適用対象となる可能性がある」というものだった。
ただし、照会書が挙げた事例は、「価格面での差別化のため、不動産売買媒介報酬を、限度額が物件価格の3%(+6万円+税 以下同様)のところ2%(+税)と設定する一方で、ローンあっせん等の対価として別途その手数料を受け取る」というもので、このやり方は「宅建業法の処分対処となり得る」という意味だ。
更に注意すべきは、この場合の「不動産売買媒介報酬」と「ローンあっせん等手数料」の総額が、法定の媒介報酬上限である3%以内であっても同様に処分対象となる可能性があるという点だ。
https://miraie-f.co.jp/files/pdf/36xbrjz5bk.pdf
国土交通省の見解
約定報酬(仲介手数料)については、宅建業法で厳しく規定されて、宅建業者は「成約本体価格×3%+6万円+消費税」を1円でも超える報酬を要求しただけで処分対象になります。
今回の法令照会で重要なことは、仲介手数料と住宅ローン斡旋手数料の合計額がこの3%+6万円の範囲内であったとしても処分対象となりうるという見解が出たことです。
国土交通省が、仲介業者が行う住宅ローン斡旋業務というのは、別料金を取るようなことではなく、通常の仲介業務の一部だ、という見解を示したことを、宅建業者は重く認識する必要があると思います。
融資斡旋手数料は支払う必要はありません
仲介業者が住宅ローン斡旋手数料を受領したからと言って、宅建業法の処分規定に該当し処分対象になるかは、不透明です。
というのも、現状では法令照会に対して国土交通省の見解が出されただけで、正式な通達として私たち宅建業者には届いていないからです。
ただ、処分対象になる得るという見解を出した以上、今後、規制がかかってくる可能性はあると思いますので、
仲介業者を通して不動産を購入する場合、購入の諸費用明細に「住宅ローン斡旋手数料」などの記載がるかどうかで不動産業者を選別してもいいかもしれません。
この度の相談者のように、請求の根拠を求めても、曖昧な説明をしたり、当り前のように請求してくる不動産業者には、支払い拒否の意思表示が必要かもしれませんね。
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