家(不動産)の売却のタイミングは「相続前」と「相続後」のどちらが良いですか?
2015年1月に改正相続税制が施行されてから、基礎控除額が大幅に下がったことで、これまで「相続税」とは縁が遠かったご家庭からも、将来の相続税対策についてのご質問を受けることが増えてきました。
相続が発生すると言うことは、ご不幸がともなうことです。
その悲しい場面でも、しっかりと対応ができるように、事前に知識をもつことは大事なことだと思います。
そこで今日は、家(不動産)の売却のタイミングは「相続前」と「相続後」のどちらがいいのかについて書いてみたいと思います。
筆:加古川の不動産売買専門店、未来家不動産株式会社 代表取締役 清 水 浩 治
相続前に、不動産を売却するメリットとは?
まずは、「相続税」とは、どのようなものでしょう?
相続税は、亡くなられた人(被相続人)の財産を「相続」や「遺贈」によって受け取る人(相続人)が納める税金です。
不動産の場合、相続が発生した後に、遺産分割協議で、その分割方法をめぐって、兄弟姉妹や親族間で争いになることが多いと聞きます。
生前に売却して、現金に変えておくことで、将来、相続が発生した時に、相続人間で分配しやすくすると言うメリットがあります。
特例制度を利用して、節税する方法もあります。
相続税の申告期限である「相続開始から10ヶ月後の翌日から3年以内」に、その不動産を売却した場合は、譲渡所得の計算をするときに、相続で不動産を取得したときの「相続税」を「取得費」に加算できるという特例制度があります。
これを「相続税の取得費加算」と言うのですが、相続した不動産を、この期間内に売却すれば、それによって発生する「譲渡所得税」を節税することができるのです。
相続税の課税評価額
不動産を「不動産のまま」相続する場合、その「課税評価額」は、時価ではなく、
土地は「路線価」
建物は「固定資産税評価額」で評価されます。
次に、不動産を「売却した現金」を相続する場合、現金自体が「課税評価額」になるので、不動産を不動産のまま相続する場合と比べると、かなり割高なるでしょう。
※不動産のまま < 不動産を売却した現金
不動産を売却した現金を相続するよりも、不動産を不動産のまま相続する方が、相続税を節税することができます。
相続税の節税という観点から見ると
将来、
相続人同士の争いは考えられないというご家庭で、
また、地域的に地価の大幅な変動がないのであれば、
「相続開始から10ヶ月後の翌日から3年以内」に売却することが、
相続税の節約という観点から見ると、ベストという考え方が成り立ちます。
相続で不動産を取得した場合の所有期間は?
一般的に、売買によって不動産を購入した場合は、取得した日が、所有期間の起算日になります。
それでは、相続や贈与で不動産を取得した場合は、どうなるのでしょうか?
その場合は、被相続人(亡くなられた人)が取得した時期を、そのまま引き継ぐこととなります。
その場合、被相続人の所有期間が、「死亡された年の1月1日現在」で5年を超えていれば、相続人が取得後すぐに売却しても、長期譲渡所得となり、譲渡税の税率は、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が適用されます。
ただし、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得になり、税率は、39.63%(所得税30.63%、住民税9%)になります。
所有期間は、その年の1月1日で判断することを覚えていてください。
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