不動産鑑定士の「鑑定評価」と不動産会社の「価格査定」似ているようで全く別物です!
不動産会社の「価格査定」と不動産鑑定士の「鑑定評価」は、どちらも不動産の価格を算出する物なので、同じように感じている人も多いと思います。
実は、不動産会社の「価格査定」と不動産鑑定士の「鑑定評価」は、全くの別物です。
今日は、不動産会社の「価格査定」と不動産鑑定士の「鑑定評価」の違いと、どんなときにどちらを利用すればいいのかについて書いてみたいと思います。
不動産鑑定士の「鑑定評価」と不動産会社の「価格査定」の違い
「鑑定評価」は不動産鑑定士が「有料」で価格を算出するもので、対象不動産の適正な経済価値を、誰もが納得できるように理論的に判定し、第三者に対して不動産の価値を証明したいときに使います。
そのため鑑定評価は、資格を有する不動産鑑定士が、詳細な調査と高度な分析によって行います。
「価格査定」は、不動産会社が「無料」で価格を算出するもので、不動産を売却しようと思った人が売れそうな値段を知るために利用し、売り出し価格を決めるために成約が見込める価格を推定することです。
つまり、相場や過去の実際の取引事例を参考に「売れる価格」を予想することです。
「鑑定評価」と「価額査定」との決定的な違いとは!
不動産を売却するとき、一般的には不動産会社の「価格査定」で十分ですが、場合によっては「鑑定評価」が必要になることがあります。
例えば、銀行や税務署、裁判所などの第三者に対し適正な価格を示す必要がある場合や、利害関係を有するもの同士の売買、また、病院、ホテル、ゴルフ場、メガソーラー用地など、相場がわかりにくい特殊な不動産を売買するときなどに「鑑定評価」利用します。
「鑑定評価」は、不動産鑑定士が報酬をいただき業として行いうもので、法令等で厳密に規定されています。そして不動産鑑定士でなければ、不動産の鑑定評価はできません。
一方、不動産会社の「価格査定」は法律上の規定はありません。価額査定は、仲介業務のサービスの一環として無料で行われるものです。
「鑑定評価」が利用される一例です
会社(法人)とその会社の社長(個人)のような利害関係を有するもの同士が、社長から会社へ、または会社から社長へ不動産を売買することがあります。
その場合、社長が値段を勝手に決めることも可能です。
会社が持っている不動産を社長に安く売ると、会社が損を出して法人税を節税することができます。逆に、社長が会社に不動産を安く売却すれば、社長は所得税を節税することも可能です。
このような行為は、脱税行為と判断せれることもあります。
そこで、事前に売買予定物件の「鑑定評価」を取り、適正な価格で売買したこと、脱税行為ではないことを客観的に証明する必要がでてくるのです。
「鑑定評価」は、鑑定評価基準による厳格なルールに基づいて求められた価格です。その価格で、社長と会社が不動産の売買をしたのであれば、税務署が脱税行為と判断することもありませんし、適正な売買であれば銀行も安心して融資をすることができるのです。
このように、第三者に対して適正な価格であることの証明するときに「鑑定評価」が必要になるのです。
不動産会社の「価格査定」とは
「鑑定評価」によって算定された価格は、第三者や公的機関など、対外的にも通用する高い証明能力があるのに対して、査定価格は、売主と査定した不動産会社の間でのみ通用するものです。
だからといって、不動産会社の「価格査定」の精度が低いというわけではありません。
経験と実績が豊富な不動産会社は、現実に数多く不動産の売買を仲介しています。実際の取引で培われた相場観や、レインズかわ分かる成約事例によって、おおむね妥当な成約見込価格を推定することができます。
そして、不動産会社に依頼すると、無料で不動産の価格を査定してもらえます。
不動産会社の「査定」は、もともと無料です!
不動産会社のホームページやチラシに「査定は無料です!」「無料査定実施中!」というような「無料」をアピールしている媒体をよく見ますが、
もともと「無料」が当たり前で、「無料」をアピールすること自体が間違っているのです。
不動産会社の査定は、自社に仲介を依頼(媒介契約)してもらうための営業活動の一環ですので、査定の時点で手数料などの金銭を受取ること自体が違法になります。
不動産会社は、不動産の売買を成立させるために様々な活動を行い、成約に至ったときに初めて報酬として仲介手数料を受取ることができるので、
本来「査定」には費用が掛かるのですが、当社は「無料」で査定します、というアピールは間違っていますので、念のために書かせていただきました。
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