相続登記をしていませんが何か不都合はあるのですか?相続登記は必要ですか?
「私の実家は、50年前に祖父が亡くなり、その後、祖母、そして父もなくなり、現在、空家 になっていますが、相続登記をする必要ってありますか?」
ご相談いただいた人は、一人息子で60歳、お母様は、ご健在です。
お父様は7人兄弟で、すでに3人がお亡くなりになっています。
そこで今日は、不動産の「相続登記」について書きたいと思います。相続登記をしないことで発生する不都合についても書きますので、是非、参考にしてください。
実は不動産の「相続登記」には法的な義務はないのです
ご来店いただき、「相続登記」についてご相談を受けました。
実は、不動産の「相続登記」には、法的な義務はないのです。
登記には大きく二つに分けて、「表示の登記」と「権利の登記」があります。
「表示の登記」は義務化されているもので、その不動産の内容を明らかにするものです。
土地なら、その所在・地番・地目・地積、等、
建物なら、その所在・家屋番号・構造・床面積、等を記載します。
しかし、「権利の登記」は義務化されていません。
権利の登記で一番分かりやすいものとして「所有権の移転」があります。
「相続登記」もこれに含まれます。
相続登記をしなくても不都合はないのですか?
相続登記をしなければ、困ったことになる場合も・・・・・。
相続登記をしなかった場合の問題点、不都合な点とは、
1.売りたくても売れません。
2.不動産を担保にしてお金を借りたくても、借りることができません。
3.時間が経過すればするほど、法定相続人が増えて
遺産分割協議書の作成が困難になります。
4.隣地との境界確定ができずに、近隣に迷惑をかけることもあります。
5.他にも、法定相続人から金銭的要求をされることもあります。
時間が経過すれば、法定相続人も増え、手続きも煩雑になり、
思った以上に費用が掛かることにもなります。
ご家族(相続人)が、身も心も元気なうちに解決すべきだと思います。
実は、この度のご相談は、お爺様名義のままのご実家を、ご売却するためのもので、売却するためには、「相続登記」は避けて通れない、重要な手続きです。
50年前に遡って、お爺様の相続、その後、お父様の相続、と
かなり難しい作業になると思いますが、お爺様の原戸籍を取得し、司法書士、弁護士、土地家屋調査士などと連携して、解決してまいります。
社会問題化する相続登記未了の不動産
以前、所有者不明な土地の面積が、九州分の面積を超えて、膨大な経済損失があると報道されていました。
所有者不明の背景には相続登記未了が起因しています。
人口減少が進み、使い道がないという土地が増え、売るに売れない、資産価値が下がる、負のスパイラル状態です。
「相続登記の義務化」が検討され始めています
土地の所有者が死亡した後も長期間にわたり、相続による所有権移転の登記 「相続登記」がされず、所有者の所在の把握が困難となり、
公共事業に伴う、用地取得等に支障をきたすなどの、いわゆる、所有者不明土地問題が顕在化し、社会的な関心を集めています。
そのため、土地の所有権を放棄する制度創設や、「相続登記の義務化」が検討され始めています。
不動産業界に携わる一人として、これからも、「不動産」を「負動産」にせず「冨動産」にするため、微力をつくしていきたいと思っています。
関連した記事を読む
- 2021/08/30
- 2021/08/07
- 2021/06/14
- 2021/06/13