不動産の相続登記を放置すると、将来に火種を残すことになります!Part1:法定相続と共有持分
不動産の相続登記を放置すると、将来に火種を残すことになります!
全国的に、空き家が増加している原因に、相続問題があります。そして、そのほとんどが、相続手続きを行わず、法定相続持分割合(共有)のまま放置されています。
不動産を共有で相続する、或いは、手続きしないで放置をしていると、他の共有者にデメリットを与えることもあります。
既に不動産を相続した人、まさに今、相続に直面している人には、是非、読んでいただきたいと思います。
そこで、今回は、共有名義のメリット・デメリット、不動産の共有名義での相続、について、2回のシリーズで書いてみたいと思います。
不動産を相続するときに、共有名義にする、或いは、相続手続を放置することが、将来にどのような火種をかかえるのか、が分かっていただけると思います。
共有名義、法定相続持分割合、とは?!
不動産を含めた全ての財産(遺産)は、相続発生時は、民法で定められた「法定相続分の持分割合」で共有状態にあります。
民法では、誰が相続人になるのかを予め定めており、定められた相続人を「法定相続人」と言います。
また、法定相続人が複数いる場合には、誰がどの割合で相続するのかも定めて、この割合を「法定相続分」と言います。
まず、配偶者は常に相続人になります。配偶者以外は、相続人になり得る人の順位が次のように定められています。
法定相続人とは?!
◆法定相続では、配偶者は常に相続人になります
◆第1順位:直系卑属:子・孫など自分より後の世代で直通系統の親族です。
◆第2順位:直系尊属:父母・祖父母など自分より前の世代で直通系統の親族です。
◆第3順位:兄弟姉妹、または、その代襲相続人(甥・姪)
法定相続割合(持分)とは?!
相続人と法定相割合(続分)は、法定相続人が誰になるかによって異なります。
◆配偶者と子の場合:配偶者 1/2、子供 1/2
◆配偶者と直系尊属:配偶者 2/3、直系尊属 1/3
◆配偶者と兄弟姉妹:配偶者 3/4、兄弟姉妹 1/4
子、 直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ複数いるときは、各人の相続分は平等になります。例えば、配偶者と子供2人の場合には、子供1人の法定相続分は、1/2×1/2=1/4になります。
法定相続人が配偶者だけの場合は、100%配偶者が相続します。
法定相続人が子ども2人だけの場合は、子供1人の法定相続持分は1/2になります。
不動産を共有で所有する場合の権利とは?!
共有とは、一つの不動産の所有権を複数人で持ち合っている関係です。そして、そこには、権利の制限が発生します。
それは、「変更または処分」を行う場合には「共有者全員の同意」が必要になり、「管理」を行う場合は「過半数の同意」が必要になるのです。
そして、共有の特徴として、共有者は持分割合に関わらず、共有物を全て利用できるという点にあります。
このように、不動産を共有で持ってしまうと、「変更または処分」や「管理」といった面で、意思決定が煩わしくなります。
例えば・・・・
「処分・変更」は共有者「全員の同意」が必要
売却は共有物の「処分」になるので、共有者全員の同意が必要になります。
母と長女が賛成していても、長男が反対していたら売却はできません。
1%の持分の共有者が反対しても売却できないと言うことです。
また、建替えや増築は「変更」にあたるので、同様に全員の同意が必要になります。
「管理」を行う場合は「過半数の同意」が必要
共有物を他人に貸すことは「管理」になるので、持ち分の過半数が必要になります。
過半数とは、50%ではなく、51%のような過半を超えた割合を指します。
母50%、長女25%、長男25%の場合であれば、少なくとも、母と長女の同意が必要ということです。
共有の特徴として、共有者は持分割合に関わらず、共有物を全て利用できる
例えば、別荘を母が50%、長女が25%、長男が25%で相続したとします。
「長男は25%の割合しか権利が無いので、この部屋しか使えない!」とはならず、25%の割合しか持っていない長男でも、その別荘の全てが使用できるというのが共有の概念です。
ここまでは、法定相続割合(持ち分)と、共有の権利について書いてきました。
この内容をご理解いただき、次回のブログでは、本題の
「不動産の相続登記の放置は、将来に火種を残すことになります!Part2:増え続ける法定相続人」について書きますので、併せてお読みください。
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