手付解除と違約解除の大きな違い!ごっちゃになっている認識を切り離してください!
重要事項説明書や売買契約書を説明していると、手付解除と違約解除(契約違反による解除)がごっちゃになっている人が多いことに気づきます。
中には、手付金とは別に違約金を支払わなければならないと思っている人もいるくらいです。
手付解除と違約解除、手付金と違約金は全く別のものですので、一つの契約で両方のペナルティが発生することはありません。
そこで今日は、不動産の売買契約における「手付解除」と「違約解除」の大きな違いについて書いてみたいと思います。
ごっちゃになっている認識を切り離してください。
手付解除を簡単に説明します
売主は、買主に受領済の手付金の倍額を現実に支払えば契約を解除することができます。
買主は、売主に支払済の手付金を放棄すれば契約を解除することができます。
手付解除は、下記の事項のいずれかが早く到来したとき以降はできません。
イ:相手方がこの契約の履行に着手したとき
ロ:売主と買主の合意で定めた期限を経過したとき
違約解除(契約違反による解除)を簡単に説明します
売主、または買主が売買契約に定める債務を履行しないとき(約束を守らないとき)、その相手方(売主が約束を破れば買主、買主が約束を破れば売主)は、契約を解除することができます。
その場合、約束を破られた相手方は自己の債務の履行(自分が果たすべき約束)を提供し、相当の期間を定めて債務の履行を催告します。
それでも履行してくれないことが確定したときに契約を解除するとともに、売主と買主の合意で定めた違約金(損害賠償の額)を請求することができます。
手付解除と違約解除の大きな違い!
<契約解除理由>
◆手付解除・・・・
特に問いません(自己都合で解除できます)
この場合の解除は契約違反や違約にはなりません
◆違約解除・・・・
相手方の契約違反(契約債務の履行をしないこと)
<契約解除ができる人>
◆手付解除・・・・
ご自身の意思で解除ができます
◆違約解除・・・・
相手方の契約違反を被った人
契約違反した本人からは解除できません
違約をした人に契約の解除権はありません!
手付解除は、相手方が契約の履行に着手するまで、あるいは、売主買主の合意で定めた期日までであれば、ご自身の意思(自己都合)でいつでも契約を解除することができます。また、解除された相手方は、手付解除に対して異議申立てはできません。
違約解除(契約違反による解除)は、相手方に売買契約に定める債務を履行しないとき、約束を破られた側は自己の債務の履行を提供し、かつ、相当の期間を定めて債務の履行を催告し、それでも履行してくれないことが確定したときに契約を解除することができるのです。
ですから、契約違反をした本人には契約の解除権は無いのです。
中には、違約金を支払えばいつでも解約できると誤解している人が少なくないのです。
「違約金を支払えば解約できる」は大きな間違いです!
手付解除は、手付金の放棄、倍返しすることで自由に契約を解除することができますが、違約解除(契約違反による解除)の場合は自由に解除することはできません!
契約違反をした相手方は次の選択権があります。
1. 契約の履行を求める(相手方の義務を果たさせる)
2. 契約を解除して違約金を請求する
例えば、買主が残代金を支払わないと言う違約をした場合、売主は、契約を解除して違約金を請求してもいいですし、残代金を支払うように求めることもできる、と言うことです。
売主が所有権移転に協力しないと言う違約をした場合、買主は、契約を解除して違約金を請求してもいいですし、不動産を引き渡すように求めることもできるのです。
ですから、契約違反をした本人には解除権が無く「違約金を支払えば解約できる」と言う認識は大きな間違いなのです。
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