家の売却方法「買取り」と「仲介」のメリット・デメリットとその選択の決め手とは?
初めて家を売却する人の中には「不動産会社に買取ってもらうこと」だと思っている人が少なくないようです。
先日、家の売却相談でご来店いただいたお客様が、しきりに「買取り金額」について質問されるので、「売却をお急ぎですか?」と尋ねると、そうでもないことが分かり、「買取り」と「仲介」の説明をさせていただくと、仲介で売却活動を進めることになりました。
そこで今日は、家の売却での「買取り」と「仲介」の違いと、それぞれのメリット・デメリット、そして「買取り」と「仲介」の選択の決め手について書いてみたいと思います。
家の売却での「買取り」と「仲介」の違い
買取りは、直接、不動産会社が買取ります。あなたの側から見ると、直接、不動産会社に売却する方法です。
不動産会社は、買取った家を加工(リフォーム)して価値を高め、利益を乗せて市場価格で再販売し買主に売却します。
いわゆる中古車やピアノの買取りと同じで、下取り価格で買取り、一般の買主に売却するのが買取りです。
買取り価格は、市場価格との間にリフォーム費用と利益が加味されるため、仲介で売却するよりも安くなりますが、不動産会社が提示した価格で納得できれば確実に売却することができます。
仲介は、売主が不動産会社を介して不動産市場で買主を探す売却方法ですので、市場価格で売却することができます。
不動産会社は、あくまでも買主を探すお手伝いをすることになります。
ただし、仲介では買主を探すのに一定の時間が必要になるので、売却できるまでに数ヵ月かかることがあります。
つまり、買取りは「早く売れるけど、価格は安い」、仲介は「売るのに時間はかかるけど、価格は高い」という違いがあるのです。
「買取り査定価格」と「仲介査定価格」の違い
買取り査定は、買取りをする不動産会社が「会社として買い取る価格」を査定します。
ですから、不動産会社が提示する「買取り価格」に納得すれば、売買が成立することになります。その後、不動産会社と売買契約を締結し諸々の手続きを踏んで物件を引渡せは完了します。
仲介査定は、不動産会社が「3ヵ月あれば売却できるであろう価格」として査定価格を算出します。
つまり「仲介査定価格」は売却予想価格で、その価格を基に売出し価格を設定します。言い換えると、仲介査定価格は、その価格で売却できることを保証するものではない、と言うことです。
「買取り」と「仲介」のメリットとデメリット
「買取り」と「仲介」は、家の売却方法として今もなお存続している方法です。
存続していると言うことは、それぞれの方法を利用している人が存在している、と言うことです。
また、どちらかを選択している、と言うことは、それぞれのメリット・デメリットを比較して、メリットを多く感じた方法を選択している、と言うことです。
ここからは、「買取り」と「仲介」のメリット・デメリット、そして、どちらかを選択した決め手について書いてみたいと思います。
「買取り」のメリット
買取りの最大のメリットは、「早く確実に売れる」です。
不動産会社が提示する買取り価格は、売却を確約してくれる価格ですので、その価格に納得できれば売却が早く決まります。
買取りは仲介ではないので仲介手数料も必要ありません。
次に、仲介で必要となる購入希望者の内覧対応も不要です。
仲介だと、購入希望者が現れるたびに内覧対応を行う必要がありますが、買取りではその負担はありません。
その上、買取りは仲介のように大々的に広告活動をする必要もないので、周囲に知られずに売却を進めることができますので、周囲に知られずに売却したい人にとってはメリットだと思います。
また、物件に損傷部分がある場合、買取り価格は安くなりますが、修繕は不動産会社が行なうので基本的にはそのままの状態で買取ってくれます。
売主が修繕をする必要はありません。
「買取り」のデメリット
買取りの最大のデメリットは、「価格が安くなる」です。
価格は、仲介で売却する場合の60%~70%と言われていますが、損傷が多い物件や売却が難しい物件はさらに価格が安くなります。
さらに、物件によっては買取りを断られることもある、と言うことも知っていてください。再販売に向けてのリスクが高そうな物件は買取ってもらえないことが多いのです。
また、買取り価格は、不動産会社の提示額で決まりますので、市場相場が分かりにくいことから価格に対する納得感は、あまり感じることができないでしょう。
高く買ってくれる買取会社は探しにくく、買取りで高く売ることは、かなり難しいといえます。仲介のようにチャレンジ価格を設定するような自由度も期待できません。
ですから、買取りを行っている複数の不動産会社で「買取り査定価格」を比較することをお勧めします。
さらに、売買契約から物件の引渡しまでの期間が短いことから、売却しながら買い換え物件を探すような同時進行もできにくくなります。
「買取り」を選択している人とは?
買取りを選択する人は、主に安くても良いので早く売る必要のある人です。
仲介での売却は、時間がかかるのと同時に、いつ売れるかが分からないので、すぐに現金化を希望する人は買取りを選択しています。
また、事故物件を売る人も買取りを選択する人が多いです。
事故物件とは、過去に自殺現場となった物件や、殺人事件、火災、忌まわしい事件・事故があり、心理的に住み心地の良さを欠く物件のことです。
ただし、事故物件の場合、全ての買取り会社が買取るわけではありませんので、専門に取り扱っている不動産会社を見つける必要があります。
「仲介」のメリット
仲介の最大のメリットは、「買取りよりも高く売れる」です。
家の売却では、高く売りたい思う人がほとんどですので、特殊な事情がない限り仲介での売却が基本になります。
仲介は、近隣の成約事例と比較して査定価格を算出し、その価格を基に他の売出し物件を参考に売出し価格を設定して売却活動を開始しますので、高く買ってくれる人を探すこともできます。
そのため、相場が把握しやすく、価格に対する納得感は高くなるでしょう。
また、高めのチャレンジ価格を設定して売り出すことも、若干安めの価格を設定して早く売ることもできますので、価格を自由に設定できることは、買取りにはないメリットになると思います。
次に、売却活動期間が長めになることから、買い換えを行う人が売却しながら次の物件を探すこともできます。
さらに、仲介は不動産会社が在庫を抱えるものではないので、売却が難しそうな物件であっても、基本的に売却依頼を断ることはありません。
「仲介」のデメリット
仲介の最大のデメリットは、「売却まで時間がかかり売却できるかも不確実」です。
仲介では、1年以上売れない物件もあります。
売買契約が成立しても途中で契約解除になることもありますので、売却の確実性は買取りよりも低くなると言わざるを得ません。
また、仲介の場合は、もちろん仲介手数料の支払いが必要になり、住みながらの売却では、内覧希望者が現れれば、その都度内覧の対応が必要になるので、売却していることがご近所に知られやすくなります。
さらに、仲介では損傷部分があると買主が購入してくれないことも多いので、損傷部分は修繕する必要がでてくることもあります。
「仲介」を選択している人とは?
家の売却では、ほとんどの人が仲介を選択します。
主には、売却期間に余裕があり、高く売りたい人が選択しています。
また、買い換えを行う人で、売却活動をしながら、次に購入する物件を探したい人も、売却期間が長くなる仲介を選択しています。
まとめてみました!
家の売却での「買取り」と「仲介」について書いてきました。
買取りは、再販売で利益を追求する不動産会社への直接売却する方法です。
仲介は、一般消費者へ直接売却する方法です。
買取りは、主に安くても良いので早く売る必要のある人が選択しています。
仲介は、主に時間に余裕があり、高く売りたい人が選択しています。
家の売却は「買取り」だけではありません。自分の目的や希望に合わせて、「買取り」と「仲介」を上手に選択するようにしてください。
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