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2020年07月25日
ブログ「未来の家」

不動産の親族間(親子間)売買で注意をして欲しい「みなし贈与」

親子や兄弟、姉妹といった親族間(親子間)で不動産の名義変更(所有権移転)をしようと考えた場合に、通常思い浮かぶのは「贈与」か「売買」を検討していくことになると思います。

そこで気を付けて欲しいのが、よかれと思って進めた「親族間売買」が、知らず知らずのうちに「みなし贈与」になってしまい、高額な贈与税を支払うことになってしまうことです。

 

そこで今日は、高額な贈与税を支払うことが無いように「みなし贈与」と、その注意点について書いてみたいと思います。

 

親族間売買で注意して欲しい「みなし贈与」

まず、贈与の場合には税金(贈与税)の問題がでてきます。

贈与税には年間110万円の非課税枠がありますので、110万円以下の贈与であれば気にする必要はありませんが、高価な財産である不動産を贈与するとなれば高額な贈与税を支払うことになりますので、あまり現実的とは言えないでしょう。

 

であれば、親族間「売買」を検討することになると思うのですが、ここでも様々な問題点をクリアしていかなければなりません。

その問題点の中で最初に解決しなければならないのが「みなし贈与」についてです。

 

「みなし贈与」とは?

贈与税は、金銭や不動産などを個人から金銭や不動産(住居)などの財産をタダで譲り受けた場合に納付する税金のことです。

これらは、贈与者が「あげます」受贈者が「もらいます」の相互の意思があるので、贈与であることが明らかですが、

当事者がそういった贈与の意思がないにも関わらず贈与税がかかってしまうものがあります。

これが「みなし贈与」と呼ばれるものです。

 

「みなし贈与」の判断基準は、社会通念上「著しく低い価格」で取引することで、実質的に贈与となっていることや、相手に経済的利益が生じるような場合を指します。

「著しく低い価格」には、明確な基準が法律で定められているわけではなく、個別に判断されることが原則です。

この「みなし贈与」は、親族間、特に親子間の不動産売買では注意しなければいけません。

 

「みなし贈与」を解りやすく説明します

例えば、親が所有している相場5,000万円のマンションを子供に売却するとします。

親子という関係上、親は子供に負担を掛けたくないとの思いで2,000万円で売ることを決めました。

相場5,000万円の不動産を2,000万円で売ると、通常では考えられない安い金額での売買になりますが、売主(親)と買主(子)が合意した金額なら問題ないように思えます。

しかし、税務上はこのような低額な親子間売買を許してくれません。

 

何故なら、5,000万円のマンションを2,000万円で子供に売買することができるのであれば、極力安い金額で子供に売ってしまえば、生前に親の資産(不動産)を子供達に移転できてしまいます。

このようなことがまかり通れば相続税の抜け道に使われてしまいます。

 

5,000万円のものを2,000万円で売買をしたわけですから、相場と売買価格の差額である「3,000万円の部分」について贈与があったとみなして贈与税が課税される可能性があるのです。

このようなケースでは、親子間では「売買」したつもりが、意図せず「贈与」になってしまうので、「みなし贈与」にならないように適正な価格設定にすることが重要になります。

そもそも贈与税は、相続税逃れを防ぐために作られた制度なのです。

 

親族間売買の一番のポイントは価格の妥当性

親族間売買での一番のポイントとなるのは、やはり価格の妥当性です。

価格設定を間違えれば税務署から、市場価格と売買価格の差額について贈与があったとみなされて、贈与税が課税される可能性があるからです。

「みなし贈与」については、

相続税法第7条(贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合)の条文

「著しく低い価額」の対価で財産の譲渡を受けた場合においては当該財産の譲渡があった時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があった時における当該財産の「時価」との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与により取得したものとみなす。

が根拠となっていますので、本当に気をつけなければならないのです。

この条文は、親族間だけを対象としたものではありませんが、他人同士の売買の場合は、利益が相反するため市場価格から乖離することは考えにくいので、税務署は特に親族間の売買について「みなし贈与」に当たるかどうかの判断をすることが多いのです。

 

税務署の「みなし贈与」に対する判断基準

親族間の売買価格について「みなし贈与」にならない適正価格かどうかを聞かれることがあります。

現実的には、「みなし贈与」になるかどうかは「申告してみないとわからない」としか答えようがないのです。

とは言え、税務署は、ある程度の判断を持っていると思われますので、その基準をもとに価格を決めていくのも一つの方法かもしれません。



税務署は、不動産鑑定士でも、不動産取引に精通した不動産業者でもないので、税務署の職員が現地に赴いて時価相場を判断するわけではなく、ある程度の判断基準をもって「みなし贈与」になるかどうかを決めているのだと思います。

それが、「みなし贈与にならなかった判例」かもしれません。

ただし、これは想像であって正解ではありませんので、参考程度にしてください。

 

みなし贈与にならなかった判例

この裁判では、路線価(公示地価のおよそ80%の価格)で親族へ売買した土地譲渡が市場相場よりも「著しく低い価格」に該当するのではないか、と言うことで東京地方裁判所で争われた事件です。(2007.08.23 東京地裁判決、平成18年(行ウ)第562号)

 

判決は、上記の相続税法7条にある「時価」を相続税評価額(路線価)と同視しなければならない理由はなく、時価とは常に客観的交換価値を意味すると指摘しています。

その上で、「著しく低い価格」か否かの判定は、個々の財産ごとの種類、性質、取引価額の決まり方、取引の実情等を勘案して行うべきであると解釈しています。

その結果、おおむね公示価格の80%とされる相続税評価額(路線価)による売買の対価については、土地取引の際の一つの指標になりえるとも示唆しています。

その上で、相続税評価額(路線価)と同程度の価額か、それ以上の対価で譲渡が行われた場合は、相続税法7条の「著しく低い価額」には当たらないと判示し、国側の主張を斥けました。

 

結論を言うと、路線価(公示地価のおおむね80%)での親族間売買は「著しく低い価格」での売買ではないと判断され「みなし贈与」税は発生しないという判断を裁判所が下したのです。

 

安心したいのであれば不動産鑑定士の評価を

上記の判例は「みなし贈与」ではないと判断されましたが、不動産の適正な価格の判定は非常に難しいと言えます。

 

宅地造成で開発された土地に建つ新築住宅なら原価をもとに計算できます。

類似の取引事例が多数ある不動産なら、取引事例を参考に判断できます。

賃貸物件なら収益を計算し価格を判断することができます。

このように不動産の価格の出し方は1つではありません。

 

また、不動産は立地、形状、築年数、法令上の制限、景気等、様々な要因で価格が変動し、ひとつの方法だけで価格を決めることは不可能です。

 

贈与にあたるかどうかの判断が一律ではなく曖昧なので、これなら大丈夫と言える基準がありません。

どうしても価格決定に不安がある場合のであれば、費用は掛かりますが、不動産鑑定士の鑑定評価を受けることをお勧めします。

もし、税務署から指摘を受けても、贈与にあたるような安価で売買していないと客観的に証明できるものを準備することが重要になります。

それが不動産鑑定士による鑑定評価になるのです。

 

まとめてみました!

親族間での不動産売買では、「みなし贈与」にならないような価格設定が重要になります。

税務署が、この売買は親族間の売買だと判断している方法は分かりませんが、これから親族間売買を検討中、あるいは、取引をする予定があるのであれば、「みなし贈与」については絶対におさえておくべきことです。

 

税務署の考え方や判断基準などは、申告する側からはわからないので、「これなら絶対大丈夫!」はありえません。

だからこそ、できるだけ安全な方法で親族間売買を進めるように心掛けてください。

 

この記事を書いた人
清水 浩治 シミズ コウジ
清水 浩治
◆ブログ「 未来の家」では、私の住む街「加古川」の魅力を紹介、不動産に関する豆知識や、トラブル解決など、情報発信を日々行っております。◆「家や土地の物件情報も大切です。しかし、もっと大切な情報があるはず!」と、私は、いつも考えています。◆加古川市で暮らしていただくうえで、大切な子育てや、お役立ち地域情報、不動産の取扱いについて知っていて欲しいことを最優先で発信しています。
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