【逆浸透膜浄水器】浄水器もどきの氾濫、ネーミングの通り本当に水をきれいにできるのでしようか?
浄水器とは、読んで字のごとく「水をきれいにする器具」と書きます。
しかし、このネーミングの通り本当に水をきれいにできるのでしようか?
今日のブログは、少し長く繁雑になりますが、大事な内容になりますのでできれば最後まで読んでいただきたいと思います。
まず、浄水器の第一次ブームは1984年で、その後落ちこみます。
これは、当時の浄水器の主流は活性炭だったのですが、この活性炭が細菌の温床になっていたことから、
1984年11月、厚生省が浄水器に細菌が増殖すると発表し、このことがさかんに報道されたことで消費者に敬遠されたからです。
それから数年間に、経緯はいろいろあったそうですが、水道当局と浄水器関連業界との間に、ある妥協が成立しました。
それが「浄水器の表示禁止事項」で、浄水器の表示に「水道水を否定する表現」をしてはならないというものです。
そして、日本水道協会(日水協・国)の型式認定となり、マスコミの水道水汚染報道と相まって浄水器の爆発的な売上となるのです。
水道局と浄水器関連業界との妥協成立により
浄水器関連業界は水道当局との約束事を守ってなのか、あるいは、自社の浄水器がそうなのかどうかは別として、
販売するの浄水器は「水道法の基準値をクリヤーしています」という、まことにおかしな試験表の発表をするのです。
水道水が、異臭や汚染などで危険だから浄水器を使う価値があるはずだったのに、
浄水器業界は、水道水の現実の水質問題を隠蔽した販売戦略を展開していくのです。
そのような展開の中で、市場には多種多様の浄水器が売り出されていきます。
水道水の安全性が危惧されマスコミにも取り上げられるようになると、機敏な業者がいち早くマーケットに参入し、
その効能を山のように並べ立てたことで消費者はどれを選択していいのか迷う状態になっていったのです。
しかも、その多くの器種について、国や国民生活センターでは、効能はほとんどないという試験結果を発表しているにもかかわらず、
同種の浄水器が相変わらず電器店やホームセンターの売り場で散乱していたのです。
これは行政の広報不足と消費者の知識不足を如実に物語っていると思います。
前書き長くなりましたが、ここからは市販されていた代表的な浄水器の数種類について書いていきたいと思います。
アルカリイオン整水器
一時、爆発的に売れたものに「アルカリイオン整水器」があります。
この器具の仕組みを簡単に説明すると、水道水を器具内部に組み込まれた活性炭に通し電解層で電気分解するものです。
アルカリ性を強調するため「乳酸カルシウム剤」を添加し、
その結果、陰極側からアルカリ性の水、陽極側から酸性の水が得られるというものです。
しかしながら、水を電気分解すれば陰極から水素ガス、陽樋から酸素ガスが発生するのですが、
水を電気分解すれば陰極にはプラス(+)の電荷をもった物質(比較的アルカリ性のもの)が集まり、
陽極にはマイナス(一)の電荷をもった物質(比較的酸性のもの)が集まります。
たとえば、塩は水中で、ナトリウムイオンと塩素イオンにわかれます。
ナトリウムイオンはアルカリ性(+の電荷)、塩素イオンは酸性(-の電荷)で、
これをもって、アルカリ性の水、酸性の水と称していますが、
実は、水を直接電気分解しても、アルカリイオンや水酸イオンが生じることはないのです。
そもそも、水は何らかのかたちでイオン化したとても、中性に戻る性質があるので、
そうなると、この種のメーカーは困るため、アルカリ性を高めるために薬品を添加するのです。
しかし、理解に苦しむのは添加する薬品に「乳酸カルシウム」や「グリセリン酸カルシウム」使い石灰水をつくるということです。
確かに石灰「水酸化カルシウム」はアルカリ性が高いのでペーハーの数値は高くなりますが、
石灰液を飲めば健康を損なうのは確実なことなのです。
アルカリ水を飲んでも身体はアルカリ性にならない
浄水器メーカーがいうように、アルカリ度の高い水を飲んだからといって、体がアルカリ性になるということはありません。
もともと人体には、
一定のペーハーを保つためのクッション機能(緩衝機能)が三重(血液・呼吸器・腎臓)にもはりめぐらされているので、
アルカリ性や酸性の水を飲んだからといって、体液や体組織が、どちらかに傾くということはないのです。
例えば、牛乳のペーハーは中性なのに、その制酸カはアルカリイオン整水器の20倍以上、
つまり、ペーハーの大きさと制酸カの大きさは無関係で、アルカリ性の水を飲んでも体がアルカリ性になるわけではなく、
「アルカリ性」と「アルカリ度(制酸カ)」を巧みにすり替えたトリックなのです。
※医学博士の川端愛義氏は
「アルカリイオン水は胃酸を薄めるから、胃の役割である食べ物を消化・分解する力や消毒力を弱める。
水は人間の命を養う一番大切なもので、電気分解するのは自然に反する行為」と読売新聞紙上で人体への悪影響を指摘しています。
※実践女子大教授の山口迪夫氏は
「体質改善になるというが、アルカリ性の水を飲んだからといって、体がアルカリ性になるものではない。
食生活のバランスこそが大切だ」と東京新聞紙上で述べています。
考えてみれば当たり前のことなのです。
この器種のセールス上、強調していることに「厚生省が承認した医療器具」という点がありましたが、
実は、この種のアルカリイオン整水器はこれにあたらないのです。
アルカリイオン整水器は浄水器ではない
通常、アルカリイオン整水器は浄水器ではなく「医療用物質生成器」で、
この器具の、製造、輸入、販売には厳しい規制があり、国が認可している効能・効果は下記のように限定されたものです。
<医療用物質生成器の効能効果>
◆陰極水(アルカリイオン水)/
飲用して慢性下痢、消化不良、胃腸内異常発酵、制酸、胃酸過多に有効である
◆陽極水(酸性水)/
弱酸性のアストリンゼントとして美容に用いられる
しかしながら、
活性炭と電気分解器を組み合わせた浄水器はアルカリイオン整水器としてネーミングされ、爆発的に売れていったのです。
こうなれば、大手電気メーカーが見逃すはずはありません。
こぞって参入し、アルカリイオン整水器だけで、ミネラルウォ-ター 浄水器の売上の倍以上の1500億円ちかくに達したのです。
国は「当時の認可基準は低く、またB類の認可は単にバイブレーションの発生のみをみたもので、その効能面を対象にしたのではない。今の規準でみればとても認可されるものではない」といっています。
また、国民生活センターの試験報告でも、この器種で謳われている効能効果はまったくないと報告しています(「たしかな目」)
この結果を手短にまとめると、
(1)アルカリイオン整水器で生成したアルカリ水のカルシウムイオンは20~30ppmしかない
(2)アルカリ性が高くても制酸カはない
(3)酸性水のアストリンゼン効果は市販品以下
(4)酸性水の殺菌力は水道水以下
というものでした。
アルカリイオン整水器には効果は何もなかったということです。
この試験結果を受けて、国は一般消費者の保健衛生上の観点から、薬事法を逸脱した効能・効果を標榜し、
虚偽または誇大な広告宣伝をしてはならない、との通達をアルカリイオン整水器業者にだしました。
普段は一般市民の味方かどうか、はっきりしない国がここまで言うのですから、
アルカリイオン整水器は、とんでもない商品だということです。
さらにおかしなことは「健康によい水」のはずなのに
「医師または薬剤師に相談してください」と、カタログにいろいろと小さな字で記載していることです。
水を飲むのに、いちいち医師に相談する人はいませんし、
相談しなければならない装置の水が、堂々とまかり通っているのも不思議です。
とにかく旧態依然たるアルカリ神話や迷信に惑わされないことです。
ミネラル浄水器
「アルカリイオン整水器」に似てまぎらわしいものに「ミネラル浄水器」があります。
代表的なものに、警備保障会社のセコムで売り出したものがあります。
宣伝文句は、「わが家でつくるミネラル水」「雑菌の繁殖なし」「抜群の制菌力」「常温で半年以上の長期保存の安全水」などでした。
この機種も、ご多分にもれず問題になりマスコミを賑わしました。
関西の安全食品連絡会の依頼で兵庫県保健環境衛生センターが試験をし、その結果は一般細菌1ミリリットル中660個、
さらに、開封前のセコムの試供水では1万個以上という、とんでもない数字となり、
それ以上に、水道水よりも水質が悪いという結果が出ました。
つまり、安全食品連絡会とのすったもんだの末、販売中止となったのです。
しかし、何年もたってもいないのにセコムは「安全」という文句をはずして旧製品の細菌汚染を曖昧にしたまま販売を再開したのです。
いずれにしても、これらの装置そのものが、水をアルカリ性化すると称する単なる水の通水器、
あるいは、電気分解器であることから、浄水器本来の能力は全くないと言えます。
私たちがカルシウムをたくさん摂取したいのであれば、
アルカリイオン水などより、はるかに多量のカルシウム分を含む「鮭の骨の缶詰」
「しらす」「小魚の佃煮」「煮干し」「卵」などを食べたり、牛乳を飲んだりすればいいのです。
言い換えれば、水でカルシウムを補給するという考え方は改めた方がいいのです。
パイ(π)ウォーター
次に、一時期話題を呼んだものに「パイ(π)ウォーター」があります。
パイ(π)ウォーターの性能や効能ともなると、アルカリイオン水の何倍も疑問点が多いと言われていました。
もともと「パイ(π)ウォーター」理論は、当時名古屋大学の、山下昭治という農学博士が提唱したのですが、
お金に敏感な業者がその理論を拡大解釈してビジネスに結び付けたものです。
そして多くの消費者が、目くらましにあったものです。
その業者の理論を一口でいえば
「生命を支えている状態とは、ある種の鉄塩によって誘導された状態をいう。
そこで、正しい情報を持った微量の鉄塩を体内に入れれば、本来あるべき健康体になる」というものです。
そのような体内の活性状態を水の「パイ(π)化状態」と名付けました。
パイ(π)化した水とか、生体水のパイ(π)化とか、いったいどんな水なのか説明できる人がいませんでした。
科学には、電子やパイ(π)中間子、それにパイ(π)結合とかの用語はありますが、
それとパイ(π)ウォーターをつくる装置が、どう関係するのか誰もが理解できなかったのです。
パイ(π)ウォーターなる据置型の浄水器は、ヤシガラ活性炭を濾過材にし、コーラルサンドやセラミック、カルシウム、そして磁性鉄等も加えたものです。
要するに、活性炭にその他の物をゴテゴテと付けた単なる水を通過させる装置にすぎなかったのです。
確かに、鉄イオンにはニ価の第一鉄と三価の第ニ鉄が存在します。
しかし、そのことと山下博士の提唱する「パイ(π)ウォ-ター理論」の鉄塩(二価三価鉄)とは同じものなのかどうか・・・
そんな基本的な疑問についてさえ、明確に説明できる学者もいなければ、メーカーもいないのです。
そればかりか、「パイ(π)ウォーター」をつくるという器具のメカニズムも、全く公開されていません。
しかしながら、この器種のどの説明書や推奨本を見ても「山下博士の発見した・・・・」などといった記述が必ずみられます。
にもかかわらず、この方々の論文や解説文を読んでみても
「パイ(π)ウォーターのニ価三価鉄とは?」との基本的な疑問にさえ答えているものは一つも存在しないのです。
国民生活センターが行ったパイ(π)ウォーターの試験
国民生活センターが行った試験(「たしかな目」)では、
浄水性能はきわめて低く、細菌汚染の程度もきわめて高いことがあきらかになりました。
この程度の設備で、増加し続けている水道水の有害化学物質が除去できるわけがないのです。
さらに、国民生活センターの試験は、
パイ(π)ウォーターについて謳われている効能のうち「植物の生長促進化」と「切り花の鮮度保持効果」を、
それぞれ、カイワレ大根と切り花で実験した結果、水道水とまったく変わりがなかったと報告しています。
また「85℃で沸騰するので風呂が早く沸く」という効能についても、水道水と変わりませんでした。
つまり、水道水とほとんど差は認められなかったのです。
けれども、業者やその関係者は、「ミネラルπウォーター」なる器具を、水道の蛇口に取り付けるだけで、
「ただの水」がたちまち「魔法の水」に変わるとして売り出したのです。
さらに、こういう業者の例に漏れず、医師たちの「保証書」まで添付していました。
ただし、この保証書は、のちに「パイ(π)ウォーター」そのものが社会問題になったとき、
当の医師たちが「保証した意志はない」とダジャレまがいの否定をしたのですが、そのときは既に業者は盛大に儲けた後だったのです。
その当時「パイ(π)ウォーター」の機器を購入した層の大多数が女性でした。
「シミ・ソバカスをとり、肌をきれいにする」との宣伝が、女性心を捉えたのです。
そして、この「パイ(π)ウォーター理論」を発表した山下博士本人が「パイ(π)ウォーター」を人工的に作ろうとしても
効果を発揮させる製造技術がまだなく、
いま出まわっているパイ(π)ウォーター製品は私の理論とは無関係」と公にしたことで騒動は終わったのです。
しかし、最近またもや「パイ(π)ウォーター理論」をふりまわしている業者が出てきているようです。
「磁化水」と同類の「電子水」
さらに、わけのわからない水理論でこけおどしをしているのは、旧ソ連で研究されたと称する「磁化水」やその同類の「電子水」です。
なぜ磁気を通した水が体によいのか、その原理はいまだに解明されていませんし、これからも解明されることはないでしょう。
「電子水」は水に一定の電圧をかけ、 電流の力によって水に含まれる塩素イオンを炭に吸着させ、
同時に電圧をかけて白金線から出る白金イオンを電気的に振動させ(雷と同じ原理)、
遠赤外線の効果で水のクラスターを小さくした水と説明しています。
これによって、塩素の分解と炭による吸着もできます。
たしかに一時的にはクラスターも小さくなります。
水に振動を与えたり、磁場や電流を通しても、一時的にクラスターは小さくなります。
たとえば、蛇口をあけて水を汲みだすだけでもクラスターは小さくなります。
こうして物理的な力を加えた水は、
すぐにもとの大きさのクラスターに戻る不安定なもので、単にクラスターが小さいからと言っても、よい水とは限らないのです。
「電子水」が登場した当時は、
「マイナスイオンが健康増進に効果的、あらゆる病気を治す万能の水」と称して過剰に宣伝され「電子水」ブームがおこりました。
しかし、メーカーは「本当に万能か?」との疑問に、科学的な検証はできずにブームは終わったのです。
「磁気水」や「磁化水」と称するものも同一です。
もともと、磁気は水道の赤水対策として登場したものです。
水源の汚染と塩素の大量使用や、水道管の老朽化等により赤水が発生しました。
この赤水の酸化物を除去するために磁気を使って多少の効果をあげました。
これを応用して、1000~2000ガウスの磁石を用い、浄水器を作成したのです。
たしかに「電子水」と同様に磁石のカでクラスターは一時的に小さくなりますが、すぐにもとの状態に戻ってしまうのです。
なにしろこの「磁化水」や「電子水」は、「記憶を持っている」「地球の波動と同じ波動をもっている」などと謳われました。
磁石を通した水は、健康体のときの記憶をもっているから、この水を飲めば病気が治るといいますが、おかしな話ですね。
そういう理屈なら、病気のときに水を飲んだら、その水は、いつまでも病気を記憶していて、大変だと言うことになりませんか?
本当にこの水が、水道水中のトリハロメタンや有機塩素化合物を除去したり、病気を治したりできるならば、
これにかかわる人たちはノーベル賞候補の筆頭だと思いますが、ついぞそんなことは聞いたことがありません。
さらに、磁石を使って水道配管の元に器具を取り付けて、家全体の水がよくなるというものが、マルチ販売で出回りましたが、
磁石で水道水中の塩素やトリハロメタン、その他塩素有機化合物は一切除去できません。
また、化粧水がわりに使えば美容効果があるとして、女性心理を巧みにくすぐる「回帰水」なる商品がありましたが、
小さな化粧箱に入って7,000円とは驚きでした。
いずれにしても、これらの商品には明確な成分表や試験表などは添付されていません。
科学的な裏付けや公的機関のデ-ターのない「奇跡の水」「魔法の水」と称しているような水には惑わされることのないように、
我々消費者も水に対する知識を高めていくことが必要だと思います。
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