耐震・免震・制振(制震)何が違うのですが?そのメリットとデメリット!Part2
地震大国である日本では、地震への備えはしておきたいものです。
前回はPart1として、建物の地震に対する構造上の備えである「免震」「耐震」「制振(制震)」の3種類の違いについて書かせていただきました。
今日は、Part2として「免震」「耐震」「制振(制震)」それぞれのメリットやデメリットについて書いてみたいと思います。
それぞれの違いを知って、あなたの家にあった地震対策の参考にしてください。
耐震工法のメリットとデメリット
耐震工法は、建築基準法などの法令にも定められている、最も一般的な工法です。
<耐震工法のメリット>
◆現状、最も取り入れられている工法です
◆3つの工法の中では最も安価です(数十万円)
◆建築基準法に則って建てれば耐震工法で建てることできます
◆激しい地震でも建物を倒壊から守ることができます
◆台風による強風ではほとんど揺れを感じません
◆地下室の設置も可能です
<耐震工法のデメリット>
◆地震の揺れが直接伝わります
◆建物の上部ほど激しく揺れます
◆建物内の家具などの損傷は免れません
◆家具の転倒などによる二次被害のリスクがあります
◆繰り返しの揺れや何度も地震が起きると倒壊の可能性が増します
◆大きな震災後の修復費用が高額になります
現在建築する家は、すべてが耐震住宅ということになります。
ただし、建築基準法は「耐震等級1」という、地震対策における最低限の耐震性能を有していれば良いということになっています。
さらに地震に強い家を建てたい場合には、費用は上がりますが、「耐震等級2(耐震等級1の1.25倍)」や「耐震等級3(耐震等級1の1.5倍)」の家にすることも検討が必要になるでしょう。
また、耐震等級が高くても、家具に揺れが伝わるため、家具が移動したり、棚の中のものが出てしまったりなどの建物内の損傷に注意しなければならないので、家具を固定するなど、家の中の防災についての工夫を忘れないようにしてください。
免震工法のメリットとデメリット
今後、主流となるであろう免震工法のメリットとデメリットです。
<免震工法のメリット>
◆地震対策においては最も優れた工法と言われています
◆地震で建物が揺れることはほとんどありません
◆建物内の損傷を防ぐことができます
◆家具の転倒などによる二次被害を防ぐことができます
<免震工法のデメリット>
◆免震装置は建物と一緒に揺れるため、一戸建てなら建物の周りは50cm以上空き地にしておく必要があります
◆耐震、制振(制震)工法に比べて施工費用が高額になります(300万円〜600万円)
◆免震装置の交換費用も高くなります
◆定期的なメンテナンスが必要になります
◆歴史が浅いため、技術面や耐用年数については疑問視の声もある
◆施工できる業者が限られています
◆強風や暴風による揺れには効果が少ない
◆免震装置を設置する分、床が地面よりも高くなります
◆地下室を作ることはできません
免震工法は、建築時に制約は多いものの、建物内の損傷が少なく済むので、大切な家財や道具を守りたい人に向いている工法です。
ただし、アイソレータと呼ばれる免震装置は定期的な交換が必要です。
耐用年数は40年と言われていますが、歴史が短いので、まだ実証に至っていません。
制振(制震)工法のメリットとデメリット
耐震工法と免震工法の「いいとこ取り」と言われている制震(制振)工法のメリットとデメリットです。
<制振(制震)工法のメリット>
◆建物の倒壊を防げる可能性が高い
◆耐震工法よりも建物内の損傷を少なくすることができます
◆免震工法よりも安価で工期が短い
◆繰り返しの揺れにも強い
◆台風や強風の揺れにも強い
◆地震後のメンテナンスもほとんど不要です
<制振(制震)工法のデメリット>
◆建物自体は地面に付いているので、地盤が軟弱だと導入ができません
◆制震装置の設置の関係上、狭小地には不向きな場合があります
◆制震装置を設置するため耐震住宅よりは費用が高くなります(50〜100万円程度)
◆建物内の損傷度合:耐震工法 > 制振(制震)工法 > 免震工法
そのため、家具を固定する金具をつけるなどの工夫は必要です
◆建物内にいた場合、地震の揺れは感じるでしょう
制震工法は、地震の揺れを抑え、建物部の損傷を防ぎ、費用も免震工法よりも安価ですので、耐震工法と免震工法のちょうど間をとった工法と言えるかもしれません。
また、地震の度にメンテナンスや検査をする必要がほとんどありません。
定期的なメンテナンスも簡易なもので済みますので、耐震工法や免震工法よりも手間がかかりません。
さらに、免震工法のように基礎部分の大掛かりな工事が不要ですので、リフォーム工事で地震対策を検討されている人にもお勧めできます。
まとめてみました!
2回にわたって、「耐震」「免震」「制振(制震)」の違いと、それぞれのメリット、デメリットについて書きました。
どの工法も、地震への備えとしての工法ですが、予算、揺れへの感じ方、家の損傷の程度、地下室の要、不要などによって、選択する工法は変わってくると思います。
また、今から建築する建物は全て耐震構造にはなりますので、耐震と制振(制震)、耐震と免震のように、組み合わせることで、より地震に強い家が建築できるでしょう。
今回のブログが、これから建てる新居への地震対策の参考になれば幸いです。
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