火災保険だけでは不十分?地震や地震が原因の火災や津波による損害の補償は、地震保険の補償内容です
火災保険は、火災や自然災害などで損害を受けた建物や家財を補償するものです。
しかし、地震や噴火、またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失などの損害は補償されません。
これらを補償するのが地震保険であり、対象は居住用の建物・家財です。
近年、全国的にも大きな地震が多発しており、地震保険の需要は高まってきています。実際、2018年度の地震保険を付けている人の割合は、全国平均で65.2%と高水準になっています。
そこで今日は、地震保険とその役割について書いてみたいと思います。
世界有数の地震国「日本」地震保険の必要性とは?
地球上で発生している大地震の約2割が、日本で発生しているというデータもあるほど、日本は世界有数の地震国です。
30年以内に「南海トラフ地震」は70~80%、「首都直下地震」は70%程度という高い確率で巨大地震が発生すると予測されていて、私たちは大地震に備える必要がありそうです。
地震が発生すると、建物の倒壊、地震による火災や津波で損壊するなど、一瞬にして家を失う可能性があります。
住む家が無くなったのに、住宅ローンだけが残るという辛い状況が想定されます。
万一、地震の被害に遭ったときに、経済的な負担を少しでも軽減するためにも、地震保険の加入が必要になってきます。
火災保険と地震保険の保険料の違いとは?
火災保険は、建物の所在地や構造で各保険会社が保険料を設定しています。つまり、同じ場所・同じ建物で、同等の補償であったとしても、保険会社によって保険料が異なります。
一方、地震保険は、所在地と建物の構造ごとで国が保険料を決めているので、どの保険会社で加入しても補償内容も保険料も変わらないので、保険会社毎の地震保険を比較する必要はありません。
言い換えると、火災保険を比較して選び、そこに地震保険を付ければいいのです。保険料も火災保険と一緒に支払います。
火災保険の契約期間は最長10年ですが、地震保険は1~5年です。いずれの保険も長期契約で保険料を一括払いすると割引率は大きくなります。
その他、地震保険には建物の建築年や耐震性能に応じた割引制度があります。「建築年割引」「耐震等級割引」「免震建築物割引」「耐震診断割引」があり、保険料が10~50%割引されます。
地震保険の公共性と、その役割
地震保険は、民間の保険会社と国が共同で運営する公共性の高い保険です。
大規模な地震が発生し、保険会社だけでは補償しきれないような損害が発生した場合は、政府が代わって保険金を支払う仕組みになっているのです。
また、地震保険の目的は「被災者の生活の安定」ですので、建物や家財の損害額すべてを補償するものではないのです。
つまり、地震保険で受け取った保険金で今と同等の家を建て直したり、家財を購入することは難しく、生活を建て直すための資金と考えてください。
地震保険は単独では契約することができません。
火災保険と必ずセットで契約する必要があります。
すでに加入中の火災保険に、途中で地震保険を付加することも可能です。
地震保険の保険金額の設定条件
地震保険は建物・家財と対象ごとに契約します。
保険金額は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で、その上限額は、建物は5000万円まで、家財は1000万円までと決まっています。
火災保険の建物保険金額が2000万円、家財の保険金額が1000万円の場合、
地震保険の保険金額は、建物は600万円~1000万円で設定可能、家財は300万円~500万円で設定可能になります。
いずれも、建物の5000万円まで、家財の1000万円までの上限は超えていません。
地震保険金の支払に修理費などの見積もりは不要
地震で損害を受けた場合、地震保険で設定した保険金額が、必ずしも全額支払われるわけではありません。
保険会社に連絡すると、鑑定人が建物・家財ごとに調査をし、損害規模に応じて「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4段階に判定します。
支払われる保険金額は、実際にかかった修理費や再建費ではなくて、損害規模(4段階)と契約金額に応じた金額になります。
ですから、修理の見積もりは不要ですので、比較的早く保険金が支払われます。
地震保険での損害規模と補償額
「全損」 保険金額の100%
「大半損」保険金額の60%
「小半損」保険金額の30%
「一部損」保険金額の5%
たとえば、火災保険(建物)に保険金額2000万円で加入した場合、地震保険の保険金額は600~1000万円の範囲で設定します。
仮に地震保険の保険金額を1000万円とすると、
全損なら1000万円、大半損なら600万円、小半損なら300万円、一部損なら50万円が保険金として支払われます。この金額だけでは、建て直しはできないと思います。
しかし、被災したときの当面の生活費や仮住まいの費用として、生活再建に役立てることができるので、地震保険の果たす役割は大きいのではないでしょうか。
なお、地震保険では30万円を超える貴金属や宝石、現金や商品券、自動車などは補償されません。
関連した記事を読む
- 2024/10/09
- 2024/02/19
- 2023/03/27
- 2022/08/25