不動産売買で「売主様が遭遇するトラブル」Worst5とその対処方法<対買主編>Part3
今日は、不動産売買で売主様が遭遇するトラブルとその対処方法について書いてみたいと思います。私の30年以上の不動産取引の経験の中で多いと感じているWorst5トラブルです。
不動産の売買では、昔からトラブルが頻繁に起きやすいと言われています。
事前に頻繁に起きるトラブルの内容とその対処方法を知って、トラブルを回避してください。
前回は、買主様とのトラブルのうち
「1.土地の境界を巡るトラブル」
「2.設備に関するトラブル」について書きました。
今日は、
「3.瑕疵担保責任に関するトラブル」について書きます。
売主様が遭遇するトラブル Worst5<買主編>
私の30年以上の不動産取引の経験の中で、
売主様が買主様との間で遭遇したトラブルWorst5は次の通りです!
1.土地の境界を巡るトラブル
2.設備に関するトラブル
3.瑕疵担保責任に関するトラブル
4.手付金に関するトラブル
5.契約解除に関するトラブル
それでは、今日は「3.瑕疵担保責任に関するトラブル」につて書きます。
3.瑕疵担保責任に関するトラブル
瑕疵担保責任は、売主様にとって大きな代償を被ることがある責任内容になっています。そのことを知って、不動産売却では不利益を受けないように慎重に対応しなければなりません。
瑕疵担保責任の詳細については、ここでは書きません。
なぜなら、令和2年4月1日から
「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変わるからです。
瑕疵担保責任は、簡単に言えば売主も買主も知り得なかった不動産の瑕疵(欠陥や不具合など)について、売主が負う損害賠償や契約解除などの責任のことです。
例えば、建物の場合は雨漏りやシロアリの被害など、一見しては分からない欠陥や不具合が後日表面化することは少なくありません。
中古物件の取引には、このようなリスクが内在しているので非常に気を遣う部分でもあります。
土地の瑕疵には高額なリスクが伴います
瑕疵担保責任は、経年劣化がある建物については、特に気を付けなければならないのですが、経年劣化の無い土地についても瑕疵担保責任のリスクがあります。
むしろ土地の瑕疵担保責任の方がリスクが高くなる傾向があります。
土地に埋設物があるとその撤去に高額の費用がかかります。
例えば、買主が建物を建築する場合、地中に埋設物があることが分かると、その撤去費用を売主に請求することになります。
ある日突然、高額な請求書が届いて慌てることになりかねません。
引渡し後に隠れた瑕疵が発覚した場合、一定期間はその補修や修繕にかかる費用や責任は売主が負わなければならないことは知っておく必要があります。
瑕疵担保責任は特約で売主の責任範囲を軽減できます
瑕疵担保責任は、売買契約書の特約条項で、その責任を軽減させることができます。
軽減以上に「売主は瑕疵担保責任を負わない」旨の特約を付すこともできます。
最近の契約書では、対応する瑕疵について「雨漏り」「白蟻の被害」「給排水管の故障」「構造上主要な木部の腐食」など責任範囲を限定し、責任期間を引渡し後3か月とするなど、民法に対する特約を付しているものが多いです。
これによって、「どんな瑕疵の責任をいつまで負えばいいのか」が明確になり、不安と負担を軽減すことができます。
しかし引渡し条件として「現状有姿引渡し」としたうえで瑕疵担保責任について取り決めない不動産業者がいます。
これは非常に危険です。
現状有姿の落とし穴
売買の仲介に慣れていない不動産業者には、引渡し条件を「現状有姿」としておけば瑕疵担保責任は回避できると認識している場合があります。
現状有姿での引渡しは、瑕疵担保責任とは法律上は別の概念と解されるので、それで安心していると後日、瑕疵担保責任を追及されることになります。
現状有姿とは、今の状態がどのような状態なのかを明確に示してうえで、その状態で引渡します、という内容だけであって、そこには、瑕疵担保責任に関する取り決めは何も無いのです。
現状有姿と記されるだけで現状の明記がなければ、現状が全く分かりませんし、現状が分からない物を引渡されても、後日瑕疵が発見されれば、当然に瑕疵担保責任を問われることになるのです。
ですから、瑕疵担保責任に対する特約は、別途条項を詳細に設けるようにしてください。
ただし、売主が知っていて買主に告げなかった瑕疵については、その特約が無効になることを知っていてください。
不動産そのもの以外の「心理的瑕疵」や「環境的瑕疵」
忘れてはいけないのが、
不動産そのもの以外の「心理的瑕疵」や「環境的瑕疵」です。
土地と建物だけの物理的な確認すれば良いというわけはなく、それ以外に瑕疵が無いかどうかも問題となり得ます。
例えば、事件や事故が起きた物件や、近隣とトラブルが発生している、騒音や臭気が気になるなど、心理的や環境的に良く思われないことは全て告知してください。
「そのことを知っていたら買わなかった」とトラブルになる可能性があります。
心理的瑕疵や環境的瑕疵については、そこに住んでいる人であれば、当然知り得る内容ですので、買主からの責任追及が容易になります。
従って、このような瑕疵を隠して取引した場合、瑕疵担保責任のリスクは高くなります。
このような不動産以外の瑕疵は、どこまでが告知対象になるのか分かりづらいので、不動産業者の担当者に必ず相談することをお勧めします。
売主様にとって厳しい内容ですので、こちらも是非確認してください!
次回は「4.手付金に関するトラブル」です
次回は、私の30年以上の不動産取引の経験の中で、
売主様が買主様との間で遭遇したトラブルWorst5のうち
4.手付金に関するトラブル
について書きますので、併せてお読みください。
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