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2020年05月11日
ブログ「未来の家」

空き家の相続放棄と管理責任の継続、相続財産管理人の選任費用と報酬

空き家になる理由の多くは「相続」が関係していると言われています。その相続で最近急増しているのが「相続放棄」です。

 

「相続放棄」とは、読んで字のごとく「被相続人の財産に対する相続権の一切を放棄する」ことです。対象となるのは被相続人(亡くなられた人)の全て財産で、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、負債などのマイナスの財産も含まれます。

相続放棄をすれば原則、相続人は相続財産に関して何ら責任を負う必要はなくなりますが、問題になるのが、相続財産に不動産がある場合です。

 

そこで今日は、相続放棄をすることで相続する人が居なくなった不動産について管理責任相続財産管理人の選任費用と報酬について書いてみたいと思います。けっこう切実な問題です。

 

相続財産(遺産)の相続放棄が急増しています

被相続人に借金が残っていたり、被相続人と疎遠で知らない人の財産を相続したくない場合は、相続放棄をすることで相続財産を相続しないで済みます。

そしてその「相続放棄」の件数が最近急増しているのです。

その多くは 今後住む予定がない、家を相続してもその後の維持費など色々とお金がかかりそうと言う理由で放棄を選択しています。

 

最高裁判所の「相続放棄の申述の受理の年間件数」の統計によると、平成30年(2018年)には21万5320件で、10年で1.4倍に増えているそうです。

 

相続人不存在の相続財産の流れ 原則と実務の乖離

相続人の全員が相続放棄をすることで相続人が不存在になると、相続財産は法人化し、相続財産管理人の選任がなされます(民法第951条、第952条)。

選任された相続財産管理人は債権者との間で相続財産の清算等を行い、残った相続財産を国庫に引き継ぎます。

これが民法に規定されている相続人が不存在の場合の相続財産の流れで、最終的に不動産は国が管理することになります。

 

しかし、これは原則的な流れで、実務上、この手続きがトントンと進むことはほとんどありません。

まず、相続人が相続放棄をして相続人不存在になると家庭裁判所に相続財産管理人の選任請求をしなければなりません。

この場合、被相続人の債権者などが請求してくれればいいですが、そうでなければ相続人が選任請求しなければ選任されることはほぼありません。

 

ここで注意しなければならないのが、

相続放棄をし、相続財産管理人の選任申請をすれば相続財産については関係が無くなり、相続財産の管理はしなくてもいいと考えてしまうことです。

 

相続財産管理人が選任されるまで相続財産の管理が必要

民法第940条第1項の規定に

相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となったものが相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない

この規定により、相続放棄をしても相続人であった人は相続財産管理人が選任されるまでは相続財産を管理しなければならないのです。

 

ここで問題になるのは、相続財産に不動産がある場合の相続放棄です。

預貯金などは、しばらく放置していても特に問題はないのですが、不動産の場合、例えばマンションで管理せず放置することで水漏れや何らかの事故があると管理責任を問われ損害賠償請求を受ける可能性があります。

一戸建ての建物も相続人が不存在で空き家のまま放置し老朽化することで、どんな事故や事件が起こるかわかりません。

 

このように相続放棄をしたからと言って手放しで安心はできないと言うことです。

 

相続財産管理人の選任には費用と報酬が必要

相続財産管理人が選任されるまで管理が必要なら、早く選任申請をすれば良いのでは、と思いますが、

相続財産管理人選任申請にも費用がかかり、相続財産管理人も業務で財産管理をしますので報酬が発生するのです。

報酬は、一般的には相続財産から支払われることになりますが、不足になれば申立人が支払うことになります。

 

相続したくないから相続放棄をしたのに、相続財産管理人が選任されるまでは相続財産を管理しなければならず、

管理したくないから相続財産管理人を選任したのに報酬を支払うことになる、と言うことを認識しておいてください。

 

相続財産管理人の選任費用と報酬額

◆収入印紙:800円分

◆連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください)

◆官報公告料:4,230円(家庭裁判所の指示があってから納めてください)

◆相続財産管理人の報酬:相続財産から支払われます

ただし、残された相続財産から支払えない場合は予納金が必要となります。

その金額は、約20万円〜100万円くらいですが、明確な金額は家庭裁判所が相続財産管理人が担当する内容の難易度によって決定されます。

予納金は余った場合は返還されますが、必ずしも返ってくるお金ではないことと、まとまったお金が必要になることは認識しておいてください。

 

相続放棄した不動産の行く末、国は引き取らない?!

相続財産管理人は、相続財産の清算が終了すると残った財産を国庫に引き継ぎます。

ただし、残った不動産は、ほとんどの場合引き取ってくれません。

その理由は単純明快で、売れない不動産はいらないからです。

 

売れる不動産であれば債権者が相続財産管理人を選任して売却し債権回収に充てるでしょう。或いは、被相続人に借金が無ければ、相続人が相続するはずです。

と言うことは、相続放棄で残った不動産は売れない「負動産」と言うことになり、国にとってもいらない不動産になるのです。

 

こうなると相続財産管理人の業務はいつまでたっても終了せず、選任を申立てた人は報酬を払い続けることになるのです。

 

ここで、選択肢として考えられるのは

1.被相続人に多額の債務(借金)が有る場合は、相続放棄をして管理義務と相続財産管理人の報酬を払い続ける。

その方が負担が少なくて済むかもしれませんね。

2.被相続人に債務(借金)が無い場合は、売れない不動産が有っても相続し維持管理費を負担しながら、時間がかかっても買主を探し続ける。

相続すれば相続財産の処分は自由にできますので相続した方がいいかもしれませんね。

 

この記事を書いた人
清水 浩治 シミズ コウジ
清水 浩治
◆ブログ「 未来の家」では、私の住む街「加古川」の魅力を紹介、不動産に関する豆知識や、トラブル解決など、情報発信を日々行っております。◆「家や土地の物件情報も大切です。しかし、もっと大切な情報があるはず!」と、私は、いつも考えています。◆加古川市で暮らしていただくうえで、大切な子育てや、お役立ち地域情報、不動産の取扱いについて知っていて欲しいことを最優先で発信しています。
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