不動産の相続登記を放置することで起きる「3つのデメリット」!
相続の手続きには、その期限が決まっているものが多いのですが、不動産の相続登記には期限がありません。
ですから、相続登記を放置していても法的には全く問題は無いのですが、長期間手続きを放置しているとデメリットがたくさん発生し、非常に面倒な事態になるかもしれないのです。
そこで今日は「相続登記を放置することで起きる3つのデメリット」について書いてみたいと思います。
相続登記の放置は、あなただけではなく、あなたの子供や孫の世代にもかかわる問題になるのです。
不動産の相続登記を放置すべきでない3つの理由
不動産の相続登記とは、被相続人(亡くなられた人)から相続人に名義を変更する登記(所有権移転登記)のことです。
はじめにも書きましたが、相続登記は義務ではないのですが、それを放置することで発生するデメリットには非常に厄介なものが多いです。
そして、相続登記の放置が原因で大きなトラブルに発展することも少なくないので、是非知っておいてください。
1.相続人が増えて行き関係が複雑になる
相続登記が完了するまでは、相続不動産は相続人全員が法定相続分の割合で共有している状態になっています。
その状態の中で相続人の内の誰かが亡くなると、その相続人の法定相続分の権利は、次の相続人、例えば妻や子供に移ります。
相続登記を放置している間に他の相続人が亡くなると、新たに相続人が増えて行き登記手続きが複雑になっていくのです。
また、法定相続割合ではなく遺産分割協議で相続登記をする場合には、相続人全員の同意と印鑑証明書が必要になるのですが、
放置している期間が長ければ長いほど相続人がどんどん増えてしまい、全員の同意を得て協議をまとめることが困難になってくるのです。
2.不動産の売却ができない
相続した不動産を売却する場合は、所有権について登記をしなければなりません。
被相続人(亡くなった人)が所有していた不動産を相続人であるあなたが引き継いだとしても、他の方には、あなたが所有者であることは分かりません。
他の人に「この不動産の所有者は自分です」と知ってもらうためには相続登記(所有権移転登記)が必要になるのです。
分かりやすく言うと、所有者が確定していない不動産を購入する買主はいないと言うことです。
相続人が多ければ多いほど、登記に必要な書類を用意するだけでも時間がかかります。
せっかく買主が見つかったのに、登記が完了していないことで売ることができなかったと言う事例もなるのです。
3.不動産を差し押さえられる可能性がある
相続人の一人に、借金の支払いが滞っている人がいる場合、その人の法定相続分が債権者に差押えられてしまうかもしれません。
不動産は相続登記が完了するまでは、相続人全員が法定相続割合で共有している状態ですので、債権者は借金がある相続人の法定相続分を差し押さえることができるのです。
たとえ、遺産分割協議の結果、あなた一人が不動産を所有することが決まったとしても、相続登記が完了していなければ、差押えをした債権者に対して、この不動産は自分だけのものだと主張することができないのです。
民法909条には、
遺産分割の効力は第三者の権利を侵害できない、と定められているからです。
差押えが適法なものであれば、最終的に不動産の所有権を取得したあなたは、差押えをした債権者に対して借金を弁済して差押えを解いてもらう必要がでてくるのです。
もし弁済ができなければ債権者は差押えをした不動産を裁判所による競売で処分することになってしまいます。
まとめてみました!
不動産の相続登記には法的義務はありませんが、相続登記の放置にはデメリットがあります。
1.相続人が増えて行き関係が複雑になる
2.不動産の売却ができない
3.不動産を差し押さえられる可能性がある
3.の場合は、最悪の状態では不動産を勝手に処分されてしまう可能性があるのです。
これらのデメリットは、将来大きなトラブルに発展する可能性があるので、相続登記は放置しないで速やかに行うことをお勧めします。
そして、相続登記の完了は、あなただけではなく、あなたの子供や孫の世代も救うことになるのです。
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