台風は何故発達するのでしょうか? 台風のエネルギー源とは?
台風10号が、週末にかけて奄美地方から西日本へ接近、あるいは、上陸する恐れがでてきました。
この台風10号は、小笠原近海で発生しましたが、様々なデータから発生前から、急激に発達することや、日本に大きな影響が出ることが予想されています。
気象庁も「特別警報級の勢力になる」と最大級の警戒を呼び掛けています。
そこで今日は、「台風は何故発達するのか?」「台風のエネルギー源とは?」について書いてみたいと思います。
筆:加古川の不動産売買専門店、未来家不動産株式会社 代表取締役 清 水 浩 治
台風のエネルギー源、台風発達のメカニズム
今回の台風10号は、発生前から大きな勢力に発達することが予想されたのは、熱帯海域の海水温の高さにあります。
良く知られているのは、台風のエネルギー源が海から蒸発した水蒸気と言うことです。
1.熱帯地方の海に強い陽ざしが照り付け、海水温が上昇します
2.海水は蒸発し水蒸気になります
3.その水蒸気は暖まった空気とともに上昇して上空で冷やされます
4.冷やされた水蒸気は再び水に戻り、雲になります
5.水蒸気は水に戻るときに余分な熱「凝結熱(ぎょうけつねつ)」を吐き出します
6.「凝結熱」が周りの大気をさらに暖めます
7.大気がさらに暖まると海水の蒸発が盛んになります
8.そうすることで台風はどんどん強力に発達します
こうして発達した台風が日本に近づくと暴風、大雨、高波など甚大な被害をもたらしますのです。
この台風のエネルギー量は莫大で、一説では一個の台風で世界で使うエネルギーの約1ヵ月分に相当すると言われているそうです。
これだけのエネルギーを陸上の水蒸気から得ることは難しいので、台風は陸地で発生することは無く、海水の蒸発が盛んになる海水温26度以上の海域でしか発生しないそうです。
水深50メートル付近の海水温が極めて重要!
台風の発生と発達には海水温が大きく関わっています。
そして、台風がさらに発達するためには、海の表面だけでなく水深50メートルくらいまでの水温が大きな影響を与えているのです。
1.台風が発生すると、その付近では強い風が吹きます
2.その風によって海の表面がかき混ぜられます
3.そうすると、水深50メートルくらいまでの冷たい海水が表面に湧き上がってきます
台風が強い風を吹かせれば吹かせるほど、海水は冷やされ台風の熱エネルギーは失われていくのです。
ところが、水深50メートルくらいまでの水温が高いと、台風でかき混ぜられても暖水が上がってくるだけなので台風は衰えることがないのです。
台風10号の進路上の海水温度
今回の台風10号の発生海域の下層水温(水深50メートル)は28度から30度近くあって、台風の進路にあたる西日本の海上でも30度前後の高温域が広がっています。
これは、平年より2度から3度高い状態だそうです。
このことから、
風で表面がかき混ぜられても下から暖水が上がってくるだけなので台風10号はすぐに衰えないことが分かっていただけると思います。
今後の台風には厳重な警戒が必要!
台風10号は日本の南を発達しながら北上しています。
9月5日(土)には猛烈な勢力となり、9月6日(日)には奄美群島近海で発達のピークを迎えると予想されています。
中心気圧は915hPa、最大瞬間風速は80メートルもの風が吹く見込みです。
その後も勢力をほとんど落とさずに九州に接近または上陸の恐れがあります。
特別警報級(中心気圧930hPa以下、最大風速50メートル以上)の勢力で奄美地方から九州に接近、または上陸する恐れがあり、甚大な影響がでる恐れがあります。
また、気象庁は、9月下旬まで関東から四国、沖縄にかけての海面水温が平年よりかなり高い見込みであると発表しています。
今回の台風10号はもちろんのこと、その後に発生する台風にも厳重な警戒が必要になるでしょう。
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