譲渡所得税で重要な建物の減価償却 購入価格よりも安く売ったのに利益が出るカラクリ
個人が所有する土地や建物などを売って出た利益(譲渡所得・譲渡益)には、他の所得(給与所得や事業所得)と分離して所得税と住民税、復興特別所得税が課税されます。
譲渡所得の計算方法は
◆譲渡所得=収入金額ー(取得費+譲渡費用)になるのですが、ここで重要になるのが「取得費」です。
売る不動産が土地だけなら特に問題はないのですが、一戸建てのように建物の売却がからむと取得費から「減価償却費相当額を控除」しなければならないのです。
そのことで、売却価格が購入時の価格よりも安いのに利益が出る、と言うことが起きるのです。
そこで今日は、「譲渡所得税で重要な建物の減価償却 購入価格よりも安く売ったのに利益が出るカラクリ」ついて書いてみたいと思います。
筆、新築一戸建て購入応援「仲介手数料・無料・0円・ゼロ・サービス」の加古川の不動産売買専門会社、未来家不動産(株)みらいえふどうさん代表、清水 浩治
取得費(購入したときの費用)
取得費とは、売却した不動産の購入(取得)に要した費用のことです。
その不動産を取得したときの購入代金と、取得時にかかった税金、設備、増改築費や、借入金利子が取得費になります。
<取得費になる費用>
◆購入代金
◆購入時にかかった税金
(登録免許税、不動産取得税、印紙税)
◆仲介手数料 ◆設備費 ◆整地費 ◆改良費
◆借入金利子(使用開始する日までの期間分)など
不動産を買ったときの売買契約書や、受け取った領収書など、取得時にかかった費用の明細は出来る限り集めてください。
このように取得費は、かかった費用をそのままプラスしていくのですが、ひとつだけ例外があります。
それは、建物の購入代金や建築代金からは、
所有期間中に減少した価値(減価償却費相当額)を差し引かなければならないということです。
売却金額が購入時の価格よりも低ければ絶対に譲渡所得がないと言い切れないのは、こうした理由があるためです。
譲渡費用(売却したときの費用)
譲渡費用は、不動産を売却するために直接かかった費用のことです。
<譲渡費用になる費用>
◆仲介手数料 ◆印紙税
◆売渡証書作成費用 ◆借家人に支払った立退料
◆土地売却にあたっての建物の取り壊し費用
などです。
建物の取得費の計算
建物の取得費の計算は、
取得費から減価償却費相当額を控除します。
住宅などの居住用建物は非事業用資産は、
◆減価償却費相当額=(取得費+設備費+改良費)×90%×非事業用償却率×経過年数
※経過年数の計算で1年未満の端数がある場合は、6ヵ月以上は1年とし、6ヵ月未満は切り捨てになります
◆主な居住用建物の耐用年数と償却率
種 別 | 法 定 耐用年数 | 償却率 | 非事業用 耐用年数 | 非事業用 償却率 | |
木造 | 22年 | 0.046 | 33年 | 0.031 | |
木造モルタル造 | 20年 | 0.050 | 30年 | 0.034 | |
鉄筋コンクリート造 | 47年 | 0.022 | 70年 | 0.015 | |
金 属 造 | 骨格材の肉厚3mm以下 | 19年 | 0.053 | 28年 | 0.036 |
同 3mm超 4mm以下 | 27年 | 0.038 | 40年 | 0.025 | |
同 4mm超 | 34年 | 0.030 | 51年 | 0.020 |
新築で取得した建物の減価償却費相当額の計算例
◆1999年5月10日に2,000万円で取得した木造の新築一戸建て(居住用)を、2020年4月4日に譲渡した場合の取得費を計算します。
(※設備費や改良費は掛かっていないものとします)
1.経過年数は?
取得から譲渡までの期間は20年10ヵ月ですが、6ヵ月以上は切り上げますので「21年」になります
2.償却率は?
木造の居住用建物ですので、「0.031」になります
3.減価償却費相当額は?
2,000万円×90%×0.031×21=「11,718,000円」
4.取得費(売却時の価格)は?
2,000万円ー11,718,000円=「8,282,000円」
になります
中古で取得した建物の減価償却費相当額の計算例
◆1995年10月1日に新築された木造住宅を、2012年4月4日に1,000万円で購入し居住。その後、2020年6月7日に売却しました場合の取得費を計算します。
(※購入後に600万円の改良費は掛けています)
1.経過年数は?
取得から譲渡までの期間は8年2ヵ月ですが、6ヵ月未満は切り捨てますので「8年」になります
2.償却率は?
木造の居住用建物ですので、「0.031」になります
3.減価償却費相当額は?
(1,000万円+600万円)×90%×0.031×8=「3,571,200円」
4.取得費(売却時の価格)は?
(1,000万円+600万円)ー3,571,200円=「12,428,800円」
になります
購入価格よりも安く売ったのに利益が出るカラクリ
◆「新築で取得した建物の減価償却費相当額の計算例」で紹介した2,000万円の建物は、取得当時、土地と併せて3,000万円で購入し、計算例と同様に、2020年4月4日に2,500万円で売却したときの計算です。
1.取得当時の内訳は?
土地/1,000万円 建物/2,000万円
2.建物取得費(売却時の価格)は?
上記計算例より「8,282,000円」
3.売却時の土地の価格は?
2,500万円ー8,282,000円=「16,718,000円」
4.売却利益(譲渡所得)は?
建物は減価償却しますので利益は出ません(マイナスです)
その分、土地の譲渡により利益が出てしまいます
16,718,000円ー1,000万円=「6,718,000円」
取得当時より500万円も安く売却したのに、譲渡所得としての計算では670万円の利益が出てしまうのです。
これが、「購入価格よりも安く売ったのに利益が出るカラクリ」です。
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