売買契約時に受取る手付金は預り金で売買代金ではありません!使わないでください!
不動産の売買契約を締結するときに買主様から支払われる「手付金」ですが、売主様の中には売買代金の一部として受け取っている人が少なくないようです。
実は、「手付金」は売買代金の一部ではないのです。
これは、プロであるはずの不動産業者の営業マンでも勘違いをしている人がいるくらいですから、消費者である売主様がご存じなくても不思議ではありません。
とは言え、手付金を他で使ってしまい、契約が白紙解除になっとときに直ぐに返還できずにトラブルになったケースもあるのです。
ですから、初めて家を売ろうとしている人には特に注意をして欲しいことです。
そこで今日は、「売買契約時に受取る手付金は預り金で売買代金ではありません!使わないでください!」について書いてみたいと思います。
筆、新築一戸建て購入応援「仲介手数料・無料・0円・ゼロ・サービス」の加古川の不動産売買専門会社、未来家不動産(株)みらいえふどうさん代表、清水 浩治
支払われる「手付金」の本来の流れ
売買契約締結の段階で授受される「手付金」の本来の流れは、売主様に預けるという形で買主様から支払われます。
そして、物件の引渡し時に買主が売買代金全額を支払うことが完了すれば、売主が預かっていた「手付金」は無利息で買主に返還されるのが本来の流れです。
しかし、いちいち返還するのも手間ですので、
不動産売買契約書の約定事項には「手付金は、残代金の支払い時に売買代金の一部に充当する」と書かれています。
「売買」代金の支払い時ではなくて、「残」代金の支払い時と書かれているのも、滞りなく取引が進んできたのであれば、売買代金全額支払いと手付金の返還の作業を簡略しようとする目的の現れです。
さらに、約定事項にはわざわざ「受領済みの金員は無利息で返還」とも書かれていますので、預入金であることが分かると思います。
手付金の性格
手付金には「解約手付」「違約手付」「証約手付」の3種類がありますが、最も一般的な「解約手付」について説明します。
「解約手付」とは、契約の相手方が契約の履行に着手するまで、或いは、約定で定めた期日までであれば、理由の如何を問わず売買契約を解除できる権利を売主も買主も双方が持っている、と言う内容の手付金です。
売主は、買主に受領済の手付金の倍額を現実に提供して、買主は、売主に支払済の手付金を放棄して、それぞれこの契約を解除することができるのです。
これを「手付倍返し」「手付放棄」と言います。
不動産の取引は高額になりますので、売る側も買う側も契約後に「失敗した」と後悔することもあるでしょう。
そのような場合でも途中で解約ができなければ、さらに大きな後悔を生むことになるので、そうならないように「解約手付」には救済の道を作っておこうという主旨が含まれています。
売主が宅地建物取引業者で、買主が一般の消費者の場合には、救済の道が確実に作られるように手付金は「解約手付」としなければなりません。
売主が手付金を返還しなければならないケース
売買契約書の約定事項には、締結した契約が「白紙解除」になる項目があります。
1.引渡し前の滅失・損傷による解除
物件の引渡し前に、天災地変や売主にも買主にも責任が無いことで、売買物件が滅失してしまい、売主が引渡すことができなくなったときは、買主は売買代金の支払いを拒むことができ、売主も買主も、この契約を解除することができます。
この場合の解約は「白紙解除」になります。
2.融資利用の特約による解除
買主が売買物件を購入するために住宅ローンを利用する場合、契約締結後速やかに虚偽の無い内容で融資の申し込みをしたにもかかわらず、金融機関から融資額の減額や融資そのものを拒否された場合は、予め定めた期限内であれば、買主はこの契約を解除することができます。
この場合の解除も「白紙解除」になります。
3.特約条項で、売主と買主の合意のもとで定めた「白紙解除」項目がある場合
「白紙解除」とは、
売買契約が最初からなかったことにしてまっさらな状態に戻すというものです。
つまり、売買契約時に授受された「手付金」は全額返金されることになります。
手付金は使わないでください!
売買契約時に授受される「手付金」には「解約手付」としての意味があり、売買代金ではないと言うことを書いてきました。
売主様としては、手付倍返しをして契約を解約する意思がなくても、約定事項には「白紙解除」になってしまう条項があります。
そうなってしまうと、売主様の意思とは関係無く手付金を速やかに買主に返還しなければならなくなりますので、他で要りようがあったとしても、手付金は使わないでください!
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