住宅ローンの審査で金融機関が重視している審査項目とは?
マイホームを購入するときに、ほとんどの人が一番に考えるのが予算だと思います。
そして、住宅ローンの利用が条件となる場合には、どのような条件でいくら借り入れができるのが気になるところです。
住宅ローンの審査は、ローンを申し込む人の「返済力」と購入する住宅の「担保力」の両面から行われるのですが、具体的にはどのように審査が行われるのでしょうか?
購入希望のお客様からも「住宅ローンの審査項目」についてよく質問があります。
そこで今日は、「住宅ローンの審査で金融機関が重視している審査項目とは?」について書いてみたいと思います。
これから、マイホームの購入で住宅ローンを利用される人には、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
筆、新築一戸建て購入応援「仲介手数料・無料・0円・ゼロ・サービス」の加古川の不動産売買専門会社、未来家不動産(株)みらいえふどうさん代表、清水 浩治
住宅ローンの審査は「返済力」と「担保力」
「返済力」とは、
住宅ローンを申し込む人が、毎月滞ることなく返済してくれるかどうかを審査します。
「担保力」とは、
住宅ローンを借りた人が返済ができなくなったときに、担保に取っている不動産を売却して融資金を回収することになるので、担保となる土地と建物の価値を評価します。
では、金融機関の「返済力」と「担保力」についての審査とは具体的にどのような項目を重視するのかについて書いていきます。
住宅ローン審査で金融機関が考慮する項目
国土交通省の「令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」による全国1,190の金融機関が考慮すると答えた項目です。
<審査項目>
◆完済時年齢:99.0%
◆健康状態:98.5%
◆担保評価:98.2%
◆借入時年齢:96.8%
◆年収:95.7%
◆勤続年数:95.6%
◆連帯保証:94.2%
◆金融機関の営業エリア:90.6%
◆返済負担率:89.2%
◆融資可能額(融資率):77.1%
◆雇用形態:76.6%
◆国籍:67.8%
◆カードローン等の他の債務の状況や返済履歴:61.8%
◆申込人との取引状況:42.6%
◆業種:27.1%
◆家族構成:20.1%
◆雇用先の規模:17.9%
◆所有資産:17.1%
◆性別:14.0%
上記の項目の内、
全国1,190の金融機関のうち50%以上の金融機関が考慮すると答えた項目について少し説明します。
年齢制限「完済時年齢」と「借入時年齢」
「完済時年齢」は99.0%、
「借入時年齢」は96.8%の金融機関が考慮すると答えています。
金融機関にもよりますが、多くの金融機関が完済時の年齢上限を80歳に設定しています。
35年返済で借りる場合は45歳未満でないと申し込みができないと言うことです。
借入時年齢については、これも金融機関によって違いがありますが、65歳や70歳と設定している金融機関が多くなっています。
もちろん、年齢の上限を守れば審査が通るということではありませんが、借り入れを検討している金融機関の借入時年齢の上限を超えていると申し込み自体ができません。
「健康状態」団体信用保険への加入
「健康状態」は98.5%の金融機関が考慮すると答えています。
住宅ローンは長期間働くことで得られる収入で返済するので重要な項目です。
申し込み人に万が一のことがあったときのために、民間金融機関の住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)への加入が必須となります。(フラット35は団信加入は任意)
告知書には、定められた期間内での傷病歴や治療歴などを記載し、金融機関の提携保険会社が団信への加入可否を審査するのですが、保険会社により可否判断は異なります。
死亡時のみ保障する一般団信
がんや成人病なども保障する疾病保障付
持病があっても加入できるワイド団信などがあり、
団信の種類によっても加入できる条件や借り入れ時の金利が変わります。
団信の告知書は、一般的には住宅ローンの本審査申し込み時に提出するのですが、事前審査の段階で健康状態に不安がある場合は事前の申し込みすることも可能です。
住宅ローンの審査に合格しても団信に加入できなければ融資は否認されるからです。
「担保評価」
「担保評価」は98.2%の金融機関が考慮すると答えています。
住宅ローンの融資実行時に金融機関は借入額相当の担保(抵当権)を設定します。
万が一、借入者の返済が滞ったときには、金融機関は対象の不動産(土地、建物)を競売にかけて売却し、抵当権が設定された金額の範囲内で優先的に資金を回収します。
したがって、
担保評価とは、その不動産が「いくらで売れるのか」を算出することで、高く売れる不動産は担保評価が高く、安くしか売れない不動産は担保評価が低いことになります。
担保評価額は、算定した時価(市場価格)に、金融機関独自の掛目を掛けて算出するのですが、掛目は時価よりも低く評価する比率ですので、一般的に担保評価額は市場価格よりもかなり低くなります。
「年収」「勤続年数」「雇用形態」
「年収」は95.7%
「勤続年数」は95.6%
「雇用形態」は76.6%の金融機関が考慮すると答えています。
住宅ローンを返済するためには安定収入が長期間続くことが必要だからです。
給与収入者(会社員)の場合は、勤続2年~3年以上といった条件を設けている金融機関が多いのですが、勤続1年未満でも、既に受け取っっている給与やボーナスの実績から見込み年収を算出して審査してくれる金融機関もあります。
個人事業主や会社経営者は、収入を確認するために過去3年分の確定申告書や会社の決算書などを提出しますが、起業して間もない場合は、収入や勤続年数の部分で審査が難しくなることもあります。
また、正社員、派遣社員、契約社員といった「雇用形態」も審査で考慮する金融機関が多いのですが、契約期間や更新の条件、年収等の条件にもよりますが、非正規雇用だから絶対に住宅ローンが借りられないと言うことではありません。
「連帯保証(人)」
「連帯保証」は94.2%の金融機関が考慮すると答えています。
連帯保証人が必要になるのは、
ペアローンや親子リレーローンなど、2人以上で住宅ローンを借りる場合で、2人以上のそれぞれが、他の人の連帯保証人になります。
夫婦の収入を合算して住宅ローンを借りる場合、ローンの名義人でなくても合算者は自動的に連帯保証人になります。
また、名義が複数の場合、
その不動産は共有者全員の同意がなければ売却することができません。
ですので、金融機関は名義人全員に対して連帯保証人になることや、返済が滞ったときには土地や建物を差し出す担保提供者となることを求めてきます。
金融機関の営業エリア
「金融機関の営業エリア」は90.6%の金融機関が考慮すると答えています。
全国に支店を持つ金融機関では、特にエリアを決めていない場合と、担保評価のために営業エリアを決めている金融機関があります。
地方銀行では、支店がある地域に住む人、支店がある地域に勤務する人、といった条件をもっている銀行もあります。
信用金庫や信用組合は法律によって営業エリアが決まっています。
「返済負担率」「融資可能額(融資率)」
「返済負担率」は89.2%、
「融資可能額(融資率)」は77.1%の金融機関が考慮すると答えています。
「返済負担率」は、年収に対する返済額の負担割合で、
「融資可能額(融資率)」とは、購入価格に対する借入額の割合のことです。
たとえば、ある金融機関の「返済負担率」は、
年収400万円未満の人は30%、
400万円以上の人は35%が上限として設定されています。
「融資可能額(融資率)」については、
重視する審査項目とする金融機関の割合が減ってきていてます。
たとえば、自己資金や頭金がなくても、物件価格と諸費用も貸してくれるオーバーローンでは、融資率は100%を超えています。
ただし、オーバーローンでも融資率を購入価格に対して110%や120%以下と設定しているケースはあります。
「国籍」「他の借り入れの返済状況」
「国籍」は67.8%の金融機関が考慮すると答えています。
「国籍」については、日本国籍または永住権が条件となっている金融機関が多いのですが、外国籍で永住許可を受けていなくても一定の要件を満たせば住宅ローンの対象となる金融機関もあります。
「他の借り入れの返済状況」61.8%の金融機関が考慮すると答えています。
カードローンやクレジットカードなど、他の債務の状況や返済履歴を考慮する金融機関が61.8%と言うことは、4割近くの金融機関が「他の借り入れの返済状況」を考慮していないことになります。
これは、仲介の実務においては少し違和感がありますね。
「スコアリング方式」を取り入れた審査
最近では、各審査項目を点数化して審査をする「スコアリング方式」を取り入れている金融機関が少しずつ増えてい40%以上が採用しています。
蓄積されたデータを駆使しする審査のAI化が進めば、現在の年収や勤続年数、融資額などの審査項目での人為的な総合判断ではなく、個人の返済力や担保力の実態に合わせた審査がより可能になり、審査期間も短縮されるのでしょう。
ただ、スコアリング方式だけで決められない現実があります。
住宅ローンはカードローンなどと違って高額で返済期間も最長で35年にもなるので、 実際には、 住宅ローン担当者が個別に面談を行い、 スコアだけではなく、申込者の 家計状況や人間性までを含めて総合的に判断するところが、まだまだ多いようです。
お客様から多い質問
ご商談の段階で、お客様から多くいただく質問として
◆取引銀行なら、もっと有利に貸してくれるはず!?
◆勤務先の規模が小さいので貸してくれないのでは?
◆他に所有している不動産を担保に貸して欲しい!
といった質問を受けることがあります。
「申込人との取引状況」を考慮する金融機関の割合は42.6%で年々減ってきているので、以前ほど、取引銀行だからと言って有利にはならないようです。
また、業種は27.1%、雇用先の規模は17.9%、所有資産は17.1%で、思うほど金融機関は審査項目として重視していないようです。
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