「売買代金の支払時期及びその方法」の条項とは?不動産売買契約書
不動産(土地・建物・マンション)を売買する際の契約書には「売買代金の支払いの時期及びその方法」という条項があります。
そこで今日は、「売買代金の支払いの時期及びその方法の条項とは?不動産売買契約書」について書いてみたいと思います。
契約書には、全宅連・FRK・全日・全住協、それぞれ独自のものがあり、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。
このブログでは、全宅連とFRKの条項を参考に説明したいと思います。
筆、新築一戸建て購入応援「仲介手数料・無料・0円・ゼロ・サービス」の加古川の不動産売買専門会社、未来家(みらいえ)不動産株式会社、代表、清水 浩治
売買代金の支払時期及びその方法の条項
【全宅連の契約書】
第●条 売買代金の支払時期及びその方法
買主は、売主に売買代金を標記の期日(B3)、(B4)までに現金(振込送金を含む)又は預金小切手で支払う。
【FRKの契約書】
第●条 売買代金の支払いの時期、方法等
買主は、売主に対し、売買代金として、表記内金(以下「内金」という)、残代金を表記書く支払日までに現金または預金小切手をもって支払います。
売買代金の支払時期及びその方法の趣旨
売買代金の支払時期及びその方法の趣旨は、売買代金の支払い時期とその方法を定めた条項です。
内金、残代金の支払い
買主は、内金および残代金をそれぞれ支払期日までに支払う必要があります。
また、内金および残代金は、手付金と異なり売買代金の一部になります。
買主は、内金や残代金の支払いを怠ると、遅滞の責任を免れることはできず、民法でも「不可抗力をもって抗弁とすることができない」と規定しています(民法第419条第3項)、つまり「うっかりしてて忘れてた」では済まされないということです。
代金の支払いが遅滞になると、売主は、買主に対して債務不履行で本契約を解除し、違約金を請求することができます。
また、解除しないで、売主は未払金額とその金額に年利3%、宅建業者が当事者の一方または双方であったときは年利6 %、消費者契約法では年利14.6%の損害金を加えた額を買主に請求することもできます。
ただし、その場合は、売主は買主に対象物件を引き渡す必要があります。
なお、支払期日を経過したとしても、買主は契約が解除されないうちに、未払代金と上記の損害金を売主に支払うことによって契約の履行を求めることもできます。
支払期日について
買主は、支払期日までに代金を支払う義務を負いますが、支払期日前に支払うのは自由です。これを「期限の利益の放棄」といいます。
ただし、買主が支払期日前に代金を支払ったとしても、売主は対象物件の引渡しを早くしなければならないわけではありません。
つまり、売主にも引渡しに対して「期限の利益」があり、それを放棄するかどうかは自由だからです。
買主が代金を支払ったのに売主が引渡しに応じてくれない、というトラブルを防止するためには、代金支払い日と物件の引渡し日は同日同時に行わなければなりません。
実際の取引では、金銭の引き出しや預け入れの保管や安全性のため、金融機関の営業日に内金や残代金の支払期日としています。
支払方法について
売買代金の支払いは、現金または預金小切手に限定されています。
そのほかの小切手や手形で支払うことはできません。
最近では、買主の銀行口座から売主の口座へ振り込むのことが多いのですが、その場合の振込み手数料はどちらが負担するのかは明記しておくことをお勧めします。
もし売買契約書に支払い方法としての銀行振込みに関する条項がない場合には、事前に売主の同意を得ておき、支払日に売主がその口座から代金の相当額を引き出せるようにしておくことが必要でしょう。
また、振込み方法には、電信扱いと文書扱いの2種類がありますが、不動産取引の実務では早く振り込みが完了できる電信扱いで振り込むことがほとんどです。
預金小切手とは?
預金小切手とは、支払銀行(小切手に支払人として記入されている銀行)か振出人になっている小切手で、略して「預手(よて)」とも言います。
預金小切手を利用するには、その券面額と同一額の金銭を振出人となっている銀行に支払い、小切手の交付を受けます。
預金小切手は銀行が振出人ですから、不渡り等の間違いがなく支払を受けることができるので安全で保証されています。
一般に売買代金の支払いに使われる小切手には、小切手の表面に2本の平行線(横線または線引といいます。平行線に「銀行渡り」「銀行」「Bank」等の文字が人ります)を引きますが、この横線が入っている小切手は、支払銀行は、所持人から取立を依頼された銀行、または支払銀行と直接取引のある人にしか支払えないことになっているため、その小切手にもとづく支払いが誰に行われたかがわかるので、不正使用の防止に役立っています。
横線を入れていない小切手もありますが、その場合、支払銀行へ持っていけば、所持人に支払われることから、小切手を拾った者や盗んだ者が使用する恐れがあります。
万一のトラブルを考えると、横線を入れた小切手を使うべきでしよう。
預金小切手を受け取った売主も、これを現金化するには、手形交換所における決済等の手続きがあるため、日数を要することには、注意をしておかなければなりません。
例えば、神戸手形交換所決済の小切手(小切手の右隅に交換所の表示があります)について、神戸近郊の自分の取引銀行に取立を依頼(自分の取引銀行に小切手を預けるという形を取ります)した場合は、取立依頼日の翌日から起算して、銀行の2営業日目の午後に現金化できることになります。
また、遠隔地の手形交換所決済の小切手の場合は、さらに日数を要しますので注意してください。
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