「売買代金清算型」と「売買代金固定型」とは?不動産売買契約書
不動産(土地・建物・マンション)を売買する際の契約書には「売買代金清算型と売買代金固定型」という条項があります。
そこで今日は、「売買代金清算型と売買代金固定型とは?不動産売買契約書」について書いてみたいと思います。
契約書には、全宅連・FRK・全日・全住協、それぞれ独自のものがあり、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。
このブログでは、全宅連とFRKの条項を参考に説明したいと思います。
筆、新築一戸建て購入応援「仲介手数料・無料・0円・ゼロ・サービス」の加古川の不動産売買専門会社、未来家(みらいえ)不動産株式会社、代表、清水 浩治
売買対象面積の条項 測量と代金清算
【全宅連の契約書】
第●条 測量図の引渡し及び境界の明示
1.売主は、その責任と負担において、隣地所有者等の立会いを得て、測量士又は土地家屋調査士に本物件について測量させ、標記(A)記載の測量図を本物件引渡しのときまでに買主に交付する。
2.売主は、買主に本物件引渡しのときまでに、前項の測量図に基づく隣地との境界を現地において明示する。
第●条 地積更正登記
前条第1項の測量図の面積と登記簿記録の面積との間に相違が生じても、売主は、地積更正登記の責めを負わないものとする。
第●条 売買代金の清算
売買代金について実測清算を行う場合において、実測面積と標記の面積(C)が異なる場合には、その異なる面積に1㎡あたり標記の単価(D)を乗じた額を残代金支払時に清算する。
【FRKの契約書】
第●条 売買対象面積・測量・代金清算
1.売主、買主は、本物件の売買対象面積を、建物については表記面積とし、土地については測量によって得られた面積とします。ただし、売主は、測量の結果得られた面積と登記簿記載の面積とに差異が生じたとしても、地積更正登記は行いません。
2.売主は、買主に対し、残代金支払日までにその責任と負担において、隣地所有者等の立会いを得て、資格ある者の測量によって作製された土地の測量図(または「確定測量図」)を交付します。なお、同測量図には、表記清算の対象となる土地(以下「清算対象土地」という)の範囲およびその測量面積も記載することとします。
3.前項にかかわらず、測量図の作製につき、隣地が国または地方公共団体の所有または管理する道路であるときは、その立会いを省略して測量することができます。※確定測量・清算型の場合は、この項目はなくなります。
4.売主、買主は、第2項の測量の結果得られた清算対象土地の面積と表記清算基準面積とに差異が生じたとき、売買代金清算に関する覚書を締結して、残代金支払日に表記清算単価により売買代金を清算します。
売買代金清算型と売買代金固定型の趣旨
売買対象である土地の面積(地積)をどのように特定するか、そして、その特定の方法によって売買代金の清算をするかしないのかを定めた条項です。
契約書には「売買代金清算型」と「売買代金固定型」があります。
区分するとすれば以下の通りになります。
売買 契約書 | 売買代金 清算型 | ①実測・清算型(道路査定省略) |
②確定測量・清算型 | ||
売買代金 固定型 | ③実測面積(契約前に測量) | |
④登記簿面積(公簿売買) |
「売買代金清算型」の契約書では、この条項によって、官民査定(道路査定)を省略した測量によって得られた面積を売買対象面積とし、残代金支払日において、予め定めた清算単価により売買代金を清算することとしています。
また、「売買代金清算型」の契約書には、上記の「道路査定」まで完了させる「確定測量・清算型」もあります。
「売買代金固定型」の契約書は、売買契約時に定められた売買代金に固定され、仮に売買契約書に記載された面積が実測面積と異なっていたとしても、清算は行いません。
この場合、売買契約書に記載する対象面積は、厳密に言うと、売買代金算出の基礎となる面積ではなく、売買対象土地を特定するためのものだということになります。
言い変えると、記載されている面積の広さが確保されている保証はないのです。
売買代金算出の基礎となる地積と代金の決め方
土地の売買代金は、多くの場合に地積を考慮して算出されます。そして代金算出の基礎となる地積の決定方法は、
1.売買契約締結後、残代金支払日までに測量を実施し、その実測面積をもって地積とし、予め定めた土地単価をもて売買代金を清算する方法
2.売買契約締結時に既に実施した測量による実測面積をもって地積とし、売買代金は契約時に決めた金額に固定する方法
3.測量の有無にかかわらず、登記簿面積をもって地積とし、売買代金は契約時に決めた金額に固定する方法(公簿売買)
1.の場合の契約を「売買代金清算型」と言い、残代金支払日までに、隣地所有者等の立会いを得て測量を行い測量図を交付し、実測面積により売買代金を清算する契約です。
2と3の場合の契約を「売買代金固定型」と言い、売買契約締結前の測量または登記簿面積により地積を固定し、仮に売買契約後に行った測量による面積と差異が生じたとしても売買代金の変更をしない契約です。
売買代金清算型
売買代金清算型は、
登記簿面積等の地積を記載して売買契約書を作成したうえで、残代金支払日までに資格のある者(土地家屋調査士等)による測量をおこない、実測面積と売買契約において定める地積との差異について、残代金支払いのときに、売買代金を清算する契約の方法です。
実測面積と売買契約において定める地積との差異については、売買代金清算に関する覚書を締結して、残代金支払日に契約で定めた清算単価により売買代金を清算します。
売買代金清算型では、隣接するすべての土地の境界について、関係者(所有者)の立会いのもと境界確認をおこなうか否かについての合意が必要になります。
契約には、売買契約が円滑に進行するように、国または地方公共団体が所有または管理する道路(公道)に関する立会い(境界確認)を省略できるとする「実測・清算型」と、
公道を含め、すべての隣接地の関係者の立会い(境界確認)を得て、これにもとづき作成された「確定測量図」を作成する完全な方法による測量を行う「確定測量・清算型」の契約があります。
売買代金固定型
売買代金固定型は、
売買契約後に測量を行っても行わなくても構わないし、測量の結果、実測面積が契約書記載の面積と異なったとしても売買代金を固定し清算を行わない契約です。
売買代金固定型の契約書に記載する対象面積には、売買契約前に売主が測量した実測面積を記載する場合と、登記簿に記載された面積(公簿面積)を記載する場合があります。
ただし、この場合、売主の測量や公簿面積が信用できるのか(本当にその広さがあるのか)は、十分に確認し検討することが必要だと思います。
※下記の「代金清算型で重要になる測量方法」をご覧ください。
代金清算型で重要になる測量方法
実測面積を売買対象面積とし売買代金を清算する契約では、どのような測量方法を執るのかが重要になります。
測量は、資格のある者(土地家屋調査士等)により、売買対象地と隣接するすべての土地の境界について、関係者(隣地所有者)の立会い(境界確認)を得て、これにもとづき作成された「確定測量図」を作成するのが一番信頼できる方法です。
もちろん、契約書では、売主がその責任と負担において測量図を交付し、測量費用も売主負担することとしています。
しかし「確定測量図」を作成するには、隣地に道路・水路など公共用地があれば、所轄の国や自治体に境界の確認と立会い(官民査定)を求める必要があり、その対応次第では大変時間がかかってしまうこともあります。
そのため、買主の承諾か得られれば、隣地が国または地方公共団体の所有または管理している道路(公道)であるときは、その境界に関する立会いを省略して、隣接民有地のみの立会い境界確認での作成した測量図を採用できることとしています。
なお、 「現況測量図」と称して、 官民、 民民のいずれの査定の立会いもせず、単に売主 の主張線で測量した図面がありますが、 これは信用に値しませんので、このような測量図による取引は避けた方がいいでしょう。
関連した記事を読む
- 2024/10/28
- 2024/10/27
- 2024/10/26
- 2024/10/09