「不動産を高く売る方法」って本当にあるのですか?不動産を高く売るって、どういうことですか?
「不動産を高く売る方法」って本当にあるのですか?
不動産を高く売るって、どういうことですか?
お客様からの素朴な質問をいただきました。
「一括査定サイトなどで、高く売る方法を教えます・・・みたいな広告をよく見るのですが、何に対して高く売ってくれるのですか?」
「よく耳にする相場よりも高く売れるということですか?」
「相場って変動するものなのに、何故、高く売れると言えるのですか?」
この質問には、「なんて、的を得た質問」って思ってしまいました。
私からの答えは、「不動産を高く売る方法」は、現実的にあり得ません!
言い換えれば「不動産を安く売らない方法」「不動産を適正な価格で売る方法」のことです。
一般的に「相場」とは、どういう意味でしょうか?
インターネットや辞書で調べてみると、
1.一般的には、ある時点における市場でのある物品(物、品物、特に、不動産以外の形のある物)の需要(買い)と供給(売り)によって決定する取引価格のことをいう。
2.本来、相場というのは、時々刻々に変動する。今日一般に相場というとき、株式、為替などの取引所で形成される価格をさし、その価格は取引が行われるごとに変動を伴うものである。
3.ある物事についての世間一般の考え方や評価。また、世間並みと認められる程度。「親は口うるさいものと相場が決まっている」「初任給は相場並みだ」
だいたい、この三つが「相場」の意味として出てきました。
不動産業界でいう価格(相場)とは、何を指しているのでしょうか?
不動産の仲介業で出てくる価格と言えば、
①査定価格、②売出し希望価格、③売出し価格、④販売価格、⑤成約価格、⑥購入希望価格、その他、公的なものとしては、路線価、公示価格、基準地価、固定資産税評価額、などがあります。それぞれの内容を簡単に書くと、
①査定価格:おおむね3ヶ月あれば売れるだろうと予想される価格
②売出し希望価格:売主様がこの金額で売りたいと希望する価格
③売出し価格:査定価格と売出し希望価格を考慮して決定する売却活動開始の価格
④販売価格:売出し価格から改定された現在販売中の価格
⑤成約価格:売主様と買主様の合意で売買契約を締結した価格で、成約事例、実勢価格とも言い、近隣で実際に取引された価格も含まれます
⑥購入希望価格:買主が、この価格になるのであれば購入したい価格
以上のうち、⑤の成約価格、成約事例、実勢価格が「相場」と言われるものです。
不動産を高く売るとは、どの価格に対して高く売るのでしょうか?
「不動産を高く売る方法を教えます」とは、何に対して高く売ってくれるのか、上の①から⑥の価格を当てはめて想像してみてください。
「不動産を〇〇価格より高く売る方法を教えます」の〇〇にどの価格が入れば、しっくりきますか?・・・・・
②③④は、当てはまらないですよね。
①の査定価格と⑥の購入希望価格よりは、ほとんどの場合高く売れます。
⑤の成約価格よりも高く売る方法では、結果よりも高く売ることになるので、違和感が残ります。
あえて当てはめるとすれば、⑤の成約価格を、近隣の成約事例(実勢価格)に読み替えれば、「近隣の成約事例(相場)よりも高く売る方法」になり、違和感は少なくなるかもしれませんね。
不動産は相場より高く売れるのでしょうか?
売りたい人は「少しでも高く売りたい」と思います。一方、買いたい人は「少しでも安く買いたい」と思います。
この「少しでも高く」「少しでも安く」の対象は「相場」になると思うのですが、より高く売れた不動産があるとすれば、相場よりも高く買ってくれた人がいた、ということになります。
はたして、あなたは、相場より高い不動産を購入しようと思いますか? 買主自身に特殊事情が無い限り、一般的には、相場より高い不動産を買う人はいないと思います。
相場より高く買いたいと思う特殊事情とは何でしょうか?
ということは、特殊事情があれば、高く売れることがある、ということになります。
たとえば、人気のあるマンションには、買いたい人が集まります。
去年は、売却物件が多く、良く売れました。ただし、早く売らなければならない人は、周りよりも安く売りに出すので、相場(成約事例)は必然に下がります。
今年も、買いたい人は依然と多いのですが、売却物件がほとんどないため、物件が売りに出ると、買主同士の競争意識が高まり、当然、去年の相場(成約事例)よりも高く売れます。
最初に説明した相場の「需要と供給のバランス」によるもので、良いタイミングで売却すれば、高く売れることになりますね。
また、買主が、その物件のお隣さんで、自分の敷地が狭く、買い足すことで広くなり資産価値が上がると考える、あるいは親御さんを呼び寄せ近くに住んでほしい、などの特殊事情がある中で、
たまたま、その物件が売りに出て、なんとしてでもその物件が欲しいと思っていただければ、相場よりも高くも買ってくれるかもしれません。
ですから、私は、売却のご依頼を受けたら、まず、その物件の向こう三軒両隣やその町内にポスティングや、お声がけをするようにしていますが、なかなか、そのようなご縁は少なく、一般的には、相場通り、または相場以下の成約が圧倒的に多いのです。
その理由は、やはり買主様は「少しでも安く買いたい」と思っているからだと思います。
一括査定サイトなどの「不動産を高く売る方法」は「不動産を安く売らない方法」でした!?
グーグルなどの検索で「不動産を高く売却する方法」と入れると、ほとんど一括査定サイトの関連記事がでてきます。
そこには、「500万円以上高く査定してくれた」などの文字が目に留まりますが、それは、単純に、複数社が提示した高い査定価格と安い査定価格の差であって、高く査定したから高く売れるものではないことくらいは、ほとんどお客様がご存知です。
ですから、「500万円以上高く売れました」とは、表現していないのです。なぜなら一般的に不動産が相場より500万円も高く売れる可能性はほとんど無く、誇大広告になってしますからです。
そして、よくよく記事を読んでみると「不動産を高く売る方法」ではなくて「不動産を安く売らない方法」「不動産を適正な価格で売る方法」に読み替えてみると、内容としては納得できそうです。
代表的なな例をあげると、
①荷物が散乱して、部屋が狭く見えると売れにくいですが、整理整頓して広く見せると売れ易いです
②水周りが汚れていると売れにくいですが、プロのハウスクリーニングで綺麗にすると売れ易いです
③照明が暗いと売れにくいですが、新しい照明で明るくすると売れ易いです
④汚いままだと売れにくいですが、リフォームすると売れ易いです
⑤陽の当たらない時間に内覧すると売れにくいですが、陽の当たる明るい時間帯に内覧すると売れ易いです
的な内容です。これは、いずれも、「不動産を適正な価格で売る方法」ですよね。
まとめてみました!
「不動産を高く売る方法」が絶対に無いと言い切れるものではありませんが、それは、需要と供給のバランスや、買主様の特殊事情が、あなたの売却タイミングに合致することで高く売れるかもしれません。
しかし、一般的には、相場より何百万円も高く売れることは無く、ほとんどの場合、相場か相場以下で成約している事実を知っていて欲しいと思います。
買主が「少しでも安く買いたい」と探している中で、「不動産を高く売る方法」を「適正な価格で売る方法」「安く売らない方法」として実践していただければ、あなたが納得できる売却に結び付くのではないでしょうか。
たとえば、3,000万円で売れるはずの不動産を2,500万円で売らないために!です。
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