遺産分割完了後に法定相続よりも優先される「遺言書」が見つかりました!どうしたらいいですか?
「遺言書」に書かれている内容は、故人の生前の意思として法定相続分よりも優先されるべきものです。
その「遺言書」が、相続人全員で協議を行い遺産分割が完了した後に見つかった場合、どうしたらいいのでしょうか?
「遺言書」に書かれている内容で
「遺産分割」をやり直さなければならないのでしょうか?
そこで今日は、遺産分割の完了後に「遺言書」が見つかった場合、どうしたらいいのかについて書きたいと思います。
遺言書は法定相続分よりも優先されます
「遺言書」の内容は、故人が生前の思いとして遺したメッセージですので、民法で定められている法定相続分よりも優先されるべき重要なものとして扱われます。
相続人全員で円満に遺産分割協議を行い、遺産分割が完了した後に、遺品整理をしていたら、「遺言書」が見つかる、と言うことがあります。
その場合、基本的には、その「遺言書」に従わなければなりません。
しかし既に、相続人全員で協議を行い、全員が納得して財産を分割したのであれば、次のように扱いましょう。
※こちらもご覧ください。「遺言書」の重要性が分かります!
実家を相続で取得します 処分したいのですが、何から何をどうしたらいいのですか? Part1「遺言書」を探す!
遺言書を確認しても異議を唱える人がいない場合
相続人全員が「遺言書」を確認しても、
相続人全員で行った遺産分割協議内容に異議を唱える人がいない場合は、再協議を行わなくてもよいでしょう。
遺言書を確認後に異議を唱える人がいる場合
「遺言書」に書かれている内容が、相続人全員で行った「遺産分割協議」の内容と異なることが書かれているかもしれません。
そのため「遺言書」を確認後に、
相続人の内一人でも、相続人全員で行った「遺産分割協議」の内容異議を唱える人がいる場合は、再協議を行う必要があります。
遺産分割協議は、相続人全員の同意が必要ですから、相続人の一人でも異議を唱える人がいる場合は、再協議になります。
また「遺言書」に遺産分割の方法だけでなく、「記載されている遺産分割方法以外での遺産分割を禁止する」という内容が書かれてる場合や、
「遺言執行者」が指定されいて、その遺言執行者が同意しない場合には、たとえ相続人の全員が同意したとしても、遺言と異なる遺産分割はできません。
遺言執行者(遺言執行人)とは?
遺言執行者(遺言執行人)とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人のことを言います。
実際には、相続財産目録を作成したり、各金融機関での預金解約手続き、法務局での不動産名義変更手続きなど、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権限を持ちます。
特に遺言執行者が必要となるケースは、第三者に相続不動産を遺贈をする場合(遺贈登記)です。
この遺贈登記をするためには、相続人全員が登記義務者となり名義変更手続きをしなければなりませんが、
遺言執行者が選任されていれば、この遺言執行者だけが義務者となることで足りるため、相続人以外の第三者への遺贈の際に多く利用されています。
遺言書に、受遺者や認知した子が書かれていた場合
遺言書に、受遺者や認知した子どものことが書かれていた場合は、その人たちも交えて遺産分割協議をやり直す必要があります。
ただし、このような場合ではトラブルに発展する可能性があるので、弁護士などの専門家に相談したほうがいいでしょう。
また、第三者に遺贈がある場合や、相続人が多い場合などは、遺言書に書かれている内容を確実に実現するために、相続人全員の代表者となる「遺言執行者」が選任されている場合があります。
その場合は、「遺言執行者」に従って遺産分割協議を行うことになります。
※受遺者:遺言書により財産を受け取ることを指定された人(相続人ではない人)
遺言書は勝手に開封してはダメです!
見つかった遺言書は勝手に開封してはダメです!
これは重要なことなのですが、必ず家庭裁判所で「検認」の手続きを受けてください!
※検認とは
遺言書(公正証書遺言を除く)の保管者、または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」を請求しなければなりません。
また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人の立会いのうえ開封しなければならないことになっています。
検認は、相続人に対し遺言の存在、およびその内容を知らせるとともに、
検認の日現在の遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
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