親の家(不動産)を売却する方法!親の「売却意思が明確な場合」の委任状と「売却意思が明確でない場合」の成年後見制度
高齢化社会の今、親御様を引き取っての同居や、親御様が施設へ入居するなどで、住む人が居なくなった実家を売却しなければならない人が増えています。
空き家のままだと、防犯や税金のことなどが心配、と思うのは自然なことですし、実家を売却することで、介護費用や医療費が捻出できると言うメリットもあります。
でも、ただでさえ、あまり経験のない不動産の売却です。
そこで今日は、親御様の名義の実家を、子の立場で売却を進める方法について書いてみたいと思います。
親の「売却意思が明確な場合」と「売却意思が明確でない場合」!
親名義の家(不動産)を売る2つの方法
家(不動産)を売るためには、まずは所有者(名義人)本人の意思確認が不可欠です。
売却することに対して、本人の意思が明確な場合と、明確でない場合では手続き方法や進め方が異なります。
1.売却に対して本人の意思が明確な場合は、親から委任状をもらって売却ができます
2.認知症などが原因で、本人の意思が明確でない場合は、成年後見制度を利用して売却します
以上の2つが、親名義の家(不動産)を売却する方法になります。
1.売却に対して本人の意思が明確な場合は、親から委任状をもらって売却
売却について本人の意思が明確な場合は、親から委任状(任意代理)をもらって売却することができます。
所有者本人の「家を売却する意思」は明確なのに、売却に向けての手続きを行うことが困難な場合、
例えば、病院や介護施設からの外出が難しい場合や、体力の衰えや低下により不動産会社との細かい打合せが負担になるケースです。
この場合は、本人が署名捺印した「委任状」を用意すれば、親族等が「代理人」となって家を売却することができます。
ただし、代理人の選任には、「私は、この人を代理人に確かに任命します」という所有者本人の意思が明確に示せる状態にあることが第一条件です。
認知症状が進行している場合などで「意思能力に欠ける」と判断されると、たとえ委任状があっても売買契約は無効になります。
委任状について(任意代理の方法)
委任内容を記載しる委任状は、フォーマットなど法的に定めらたものがありませんので、不動産会社や司法書士に相談して、ひな形を見せてもらいましょう。
委任状には、受任する人は誰なのか、委任する内容は何なのか、を漏れなく明確に記載する必要があります。
また、委任状には実印を捺印し、委任した人の印鑑証明書を添付しますが、書類が形式的に整っているだけでは家を売却することはできません。
売買の相手方(買主)の立場からすると、この受任者は本当に正当な代理人なのか、と不安になるのが当然です。
そこで、売買を仲介する不動産会社の担当者や司法書士が、本人に面談して、本人確認や売却の意思確認を行うのです。
2.認知症などが原因で、本人の意思が明確でない場合は、成年後見制度を利用して売却します
成年後見制度とは、認知症などが原因で「意思能力に欠ける」状態になり、法律行為ができないと判断された場合は、この制度を利用して家を売却することができます。
「成年後見制度」は、判断能力が不十分な人を支援するための制度です。
家庭裁判所が選任した「成年後見人」は、本人に代わり契約の締結や、不利益な契約を取り消すことができます。
また、成年後見人は、重い責任を伴うので、必ずしも親族が選任されるとは限らず、弁護士や司法書士などが後見人に任命される場合もあります。その場合、一定の報酬が発生するのが一般的です。
成年後見人は、入院手続きや財産管理を行い、必要があれば本人のために家(不動産)を売却することもできるのです。
ただし、家の売却が完了しても、後見人の立場が解任されることはなく、本人が亡くなるか、意思能力が回復するまで続きます。
そのため、弁護士や司法書士が後見人になった場合は、継続して報酬が発生することは念頭に置いておいてください。
成年後見制度を利用する方法
成年後見人は、家庭裁判所に選任の申立てをしなければなりません。
申立てを受けた家庭裁判所は、審理を行い、成年後見人を選任します。
さらに、成年後見人が本人の居住用財産(自宅)を売却する場合には家庭裁判所に「居住用不動産処分の許可」を申請し許可を得る必要があります。
また、家の買主を見つけるにも時間が必要です。
このように、成年後見人が選任され、買主を見つけ、居住用不動産売却の許可を得るまでには数ヶ月かかることを知っていてください。
高齢化社会では、成年後見人制度を利用しての居住用不動産の売却件数は増加傾向ですので、円滑安全にサポートしてくれる不動産会社を選ぶことをおすすめします。
こちらも併せてご覧ください!
◆成年後見制度・・・・認知症になった親の不動産を売却することはできないのですか?
◆成年後見制度を使って不動産を売却するための手続きと、売買契約締結の注意点!
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