負担の消除(全宅連)抵当権等の抹消(FRK)の条項とは?不動産売買契約書
不動産(土地・建物・マンション)を売買する際の契約書には「負担の消除」「抵当権等の抹消」という条項があります。
そこで今日は、「負担の消除(全宅連)抵当権等の抹消(FRK)の条項とは?不動産売買契約書」について書いてみたいと思います。
契約書には、全宅連・FRK・全日・全住協、それぞれ独自のものがあり、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。
このブログでは、全宅連とFRKの条項を参考に説明したいと思います。
筆、新築一戸建て購入応援「仲介手数料・無料・0円・ゼロ・サービス」の加古川の不動産売買専門会社、未来家(みらいえ)不動産株式会社、代表、清水 浩治
抵当権等の抹消、負担の消除の条項
【全宅の契約書】
第●条 負担の消除
売主は、本物件の所有権移転の時期までに、抵当権等の担保権及び賃借権等の用益権その他買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を消除する。
【FRKの契約書】
第●条 抵当権等の抹消
売主は、買主に対し、本物件について、第●条の所有権移転時期までにその責任と負担において、先取特権、抵当権等の担保権、地上権、賃借権等の用益権その他名目形式の如何を問わず、買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を除去抹消します。
抵当権等の抹消、負担の消除の趣旨
抵当権等の抹消、負担の消除の趣旨は、
売主には、対象不動産を買主に引渡す義務だけではなく、所有権の行使を阻害するような負担がない完全な所有権を与える義務があります。
そのため、所有権移転の時期(残代金支払いの時期)までに対象不動産に存する抵当権等を抹消しなければならないのです。
もちろん、抹消のための費用は売主の負担になります。
所有権行使を阻害する負担とは?
買主の所有権行使を阻害する負担には、
先取特権・抵当権は、所有権の交換価値を制約する担保物権、地上権・賃借権は、使用、収益を制約する用益権のそれぞれ典型なものであり、完全な所有権の行使を阻害するので、売主はこれらの負担を除去抹消する義務があるのです。
その他、留置権・質権・根抵当権・永小作権・地役権・使用借権についても、当然に除去抹消が必要になります。
また、特別法上の仮登記担保・判例で認められた譲渡担保・所有権留保等の諸権利・差押・仮差押・仮処分、および税法関係の差押なども、買主の所有権を阻害しますので、除去抹消しなければなりません。
宅建業者の責務
宅建業者は、買主の所有権行使を阻害する負担が存在する物件を契約するときは、その負担がいかなる内容のものなのか、いつの時点で除去抹消できるのかなどを調査します。
特に、その負担を除去抹消するために売買代金を上回る資金が必要なときは、より慎重な調査をすることになります。
そして、その内容を買主に十分に説明するとともに、買主の諸権利が保全される方法で取引を進める必要があるのです。
抵当権等の同時抹消とは?
この条項では、売主に対し、所有権移転の時期(買主が残代金を支払う)までに抵当権等を除去抹消することを定めています。
つまり、売主は自己資金または受領した内金で債務を完済し、買主が残代金を支払う前に抵当権等を抹消しておかなければならないのです。
しかし、実際の取引では、買主が残代金を支払うまでに売主が事前に抵当権等の抹消を完了させておくことは困難な場合が多いです。
そのため、買主から受領する残代金(の一部)を利用して、住宅ローン等の債務を完済し、抵当権等の抹消登記手続きに入るというのが、一般的な決済方法になっています。
このように、残代金支払日に、残代金の授受、債務の完済、抵当権等の抹消登記申請、所有権移転登記申請の手続きを、同時に行うことを「同時抹消」といいます。
同時抹消は約定違反になる
同時抹消は、買主からの残代金を受領した売主が、その受領した金銭を債権者に支払うことによって抹消を行うことになります。
そうすると、この条項の「所有権移転時期(買主が残代金を支払うとき)までに」除去抹消ができないので、約定違反になります。
そこで、実務においては「同時抹消の特約」を入れることになります。
第●条(抵当権等の抹消)に定める抵当権等の除去抹消の時期について、本物件に設定されている抵当権(根抵当権)については、売主が買主から受領する残代金(の一部)を充当して、その債務を完済し抹消することとします。
このため、前記抵当権(根抵当権)の抹消登記については、第▲条(所有権移転登記等)に定める所有権移転登記と同時にその申請手続を行うことを、売主及び買主は確認しました。
また、これに伴い、第●条の「第■条の所有権移転時期までに」は「第▲条の所有権移転登記の時期までに」と読替えることとします。
「同時抹消」で取引を進める場合、宅建業者は、契約書の条項と実際の同時抹消の段取りとの関係を、買主様には十分に説明してくれますので、納得できるまでよく聞いてください。
地役権設定登記承諾の特約
地役権とは、
A土地の便益のために他のB土地を使用する物権で、A土地を「要役地」、B土地を「承役地」といいます。
地役権は「要役地」に付随した物権なので、要役地が処分(売買等)されると特約がない限り地役権も共に処分されたことになります。
また、地役権だけを要役地から分離して処分することもできません。
つまり、売買物件が第三者の地役権の「承役地」になっていても、承役地に地役権の登記がなされていないときは、地役権者は承役地の譲受人(買主)に対抗ができません。
しかし、地役権の登記がなされている場合は「下記特約」を利用し、売主から買主へ地役権の負担を継承するようにしています。
地役権設定登記承諾の特約
買主は、本物件のうち別添図面色塗部分の土地が、売主「〇〇〇〇」間にて平成〇年〇月〇日付で締結された地役権設定契約にもとづき〇〇〇〇所有に関わる〇〇市〇〇町〇〇番〇所在の土地を要役地とする〇〇〇〇のための地役権の承役地となっていることを確認しました。
買主は、第●条(抵当権等の抹消)にかかわらず、当該地役権設定登記は除去抹消できないことを承諾します。
電力会社のための地役権、分譲地等の共同施設(排水施設等)利用のための地役権等、地役権設定登記の用益権を負担したままでの売買も、完全な所有権の状態での売買ではないので、特約が必要となります。
また、地下鉄等のための地上権設定(区分地上権)がされている場合にも、同様に特約処理が必要になります。
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