所有権移転登記の申請(全宅連)所有権移転登記等(FRK)の条項とは?不動産売買契約書
不動産(土地・建物・マンション)を売買する際の契約書には「所有権移転登記の申請」「所有権移転登記等」という条項があります。
そこで今日は、「所有権移転登記の申請(全宅連)」「所有権移転登記等(FRK)」の条項とは?不動産売買契約書」について書いてみたいと思います。
契約書には、全宅連・FRK・全日・全住協、それぞれ独自のものがあり、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。
このブログでは、全宅連とFRKの条項を参考に説明したいと思います。
筆、新築一戸建て購入応援「仲介手数料・無料・0円・ゼロ・サービス」の加古川の不動産売買専門会社、未来家(みらいえ)不動産株式会社、代表、清水 浩治
所有権移転登記の申請(全宅連)所有権移転登記等(FRK)の条項
【全宅の契約書】
第●条 所有権移転登記の申請
1.売主は、売買代金全額の受領と同時に、買主の名義にするために、本物件の所有権移転登記申請手続きをしなければならない。
2.所有権移転登記の申請手続きに要する費用は、買主の負担とする。ただし、本物件の売渡しに要する所有権登記名義人の住所、氏名の変更登記に関する費用は、売主の負担とする。
【FRKの契約書】
第●条 所有権移転登記等
1.売主は、買主に対し、売買代金全額の受領と同時に本物件について、買主の名義に所有権移転登記申請手続をします。
2.前項の登記申請に要する費用は、買主の負担とします。ただし、本物件に関する所有権登記名義人の住所、氏名の変更登記を要する場合の費用は、売主の負担とします。
所有権移転登記の申請、所有権移転登記等の趣旨
所有権移転登記の申請、所有権移転登記等の趣旨は、
売主の基本的な義務として、買主に対して所有権の移転登記申請手続義務があることを定めた条項になります。
また、登記に要する手続きの費用は、登記によって利益を受ける者に負担させるべきですので、この条項では、申請手続きに必要な登録免許税、司法書士の報酬等の費用は、買主の負担としています。
ただし、登記名義人(売主)の表示変更が必要になる場合には、売主に所有権移転登記申請手続義務があることから考えて、売主が費用を負担すべきですので、登記名義人の表示変更のための費用は売主の負担となることも明文化しています。
なお、関西地方の慣行では、登記原因証明情報作成費用等売渡しに関する費用を売主の負担としています。
所有権移転登記の手続で注意をして欲しいこと
所有権移転登記の手続きをするときには、事前に次の確認が必要になります。
1.売主の所有権登記済証(権利証)
2.売主の登記簿上の住所と印鑑証明書の住所が一致していること
3.売主の印鑑証明書の期限について
4.売主からの登記原因証明情報の提供
1.売主の所有権登記済証(権利証)
平成17年3月の「新不動産登記法」の施行前は、
所有権移転登記申請のときに、売主が権利証を紛失し提出できない場合は「保証書」という書類を作成しましたが、新不動産登記法施行と同時に、その制度が廃止されました。
もし、売主が紛失により権利証を提出できない場合は「事前通知制度」または資格者代理人(司法書士)による「本人確認情報提供制度」のいずれかの制度を利用することになります。
ただし、売主には「本人確認情報提供制度」の利用を勧めることになるでしょう。
なぜなら、「本人確認情報提供制度」は「事前通知制度」と異なり「同時決済(抵当権抹消登記、所有権移転登記、抵当権設定登記の各申請を同時に行う)」ができるからです。
その場合でも、本人確認の手続きに期間を要することに注意が必要です。
<事前通知制度>
登記所(法務局)が売主である登記義務者に対して、郵送で「登記申請があった旨」の通知を「本人限定受取郵便」で送付します。
これにより本人確認が行なわれるわけです。
通知を受け取った登記名義人(売主)が、通知書に署(記)名し実印で押印して、通知された登記の申請が真実であることを登記所に申し出たときに初めて登記が実行される制度です。
<司法書士等の資格者代理人による本人確認情報提供制度>
申請代理人である司法書士が本人と面談し、本人の運転免許証やパスポートなどの身分証明書の提示を受けて本人であることを確認します。
資格者代理人である司法書士が所定の確認方法により適切な本人確認をし、その内容を本人確認情報として登記所に提供するというものです。
その本人確認情報が適正であれば、事前通知を省略して登記が実行されます。
2.売主の登記簿上の住所と印鑑証明書の住所が一致していること
売主の登記簿上の住所と印鑑証明書の住所が一致していないと所有権移転登記申請はできません。
もし、登記簿上の住所と印鑑証明書の住所が一致していない場合は、住民票や戸籍の附票などを添付して所有権登記名義人の表示変更登記の申請が必要となります。
3.売主の印鑑証明書の期限について
印鑑証明書は、発行日から3ヵ月以内のものが必要になります。
4.売主からの登記原因証明情報の提供
登記原因証明情報としては、最もふさわしいのは売買契約書ですが、売買契約書などをそのまま添付してしまうと、それが閲覧に供されることにもなり、売買代金や特約など契約書に書かれている事項がすべて公開されてしまうことになってしまいます。
したがって、別に登記原因証明情報を作成する方法によって行うことになります。
実務においては、登記申請手続きを依頼する司法書士に、登記申請書類の1つとして登記原因証明情報の作成を依頼することになります。
報告形式の登記原因証明情報なら、必要事項のみを記載することができますから、余計な内容が公開されてしまうことも防止できます。
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