接道義務を満たしていない物件の過去の重要事項説明義務違反が不法行為責任に問われ宅建業者に損害賠償を認めた紛争事例
今日ご紹介するのは、
売主(宅建業者)とその媒介(仲介)業者に 、 接道義務を満たしていない物件の説明義務違反があったとして、買主に引渡されてから17年後に、買主に対する不法行為責任が認められた紛争事例です。
裁判所が、買主に対する説明義務違反(本件不法行為)があったことが明らかで、宅建業者らは、本件不法行為と相当因果関係にある買主の損害について賠償責任(不真正連帯債務)を認めた事例です。
紛争の内容(過去の重要事項説明義務違反が不幸行為と認められた)
(1)買主Xは、平成5年10月29日、宅建業者Aから、中古住宅を、売主側媒介(仲介)業者宅建業者Bと買主側媒介(仲介)業者Cの共同仲介により代金2,500万円で購入し、同年12月27日に物件の引渡しを受けました。
この契約に際し、Xは、金融機関から2,200万円の借入れを行いました。
本件建物は、昭和50年10月1日新築で、本件土地は、いわゆる「袋地」で、幅員6mの公道につながっている隣地と共有の幅員約2.7mの本件通路に接しています。
※「袋地」とは他の土地に囲まれて公道に通じていない土地のことです
(2)本件建物については、昭和50年6月、本件通路部分に幅員4 mの道路が設置され、本件土地がその道路に接することを前提として建築確認を取得していた。
しかし、現実には、幅員4mの道路は存在せず、本件通路が存在するのみであったため、本件建物か、隣地建物のうち1棟しか建築できない状況でした。
(3)引渡しを受けた後、約15年経過した平成20年12月頃、買主Xは不動産業者Dに買い取って欲しいと相談をしたところ、「本件土地は、接道義務を満たしていないから建築確認が下りず、再建築ができないので、買い取ることはできない」と断られたのです。
(4)再建築ができない不動産を交わされた買主Xは、売主(宅建業者)Aと、その媒介(仲介)業者に対して、本物件の購入価格と適正価格との差額、借入金にかかる利息金相当額の支払い等を求め、平成21年8月18日、裁判所に提訴しました。
イ.本件売買代金(2,550万円)+本件借入れに係る利息金相当額(727万5,669円)+遅延損害金(397万4,823円)一Xが主張する購入時の適正価格(752万円)=2,923万492円
ロ.弁護士費用/上記金額の1割
ハ.合計/3,215万492円
各当事者の言い分
<買主Xの言い分>
(1)本件土地が接道要件を満たしておらず、再建築が困難であることについては説明を受けたことがない。
(2)購入価格は、再建築が可能であることを前提としているので、適正価格との差額を返還すべきである。
(3)また、借入れにかかる利息金相当額も返して欲しい。
<売主(宅建業者)A・媒介(仲介)業者Bの言い分>
(1)本件建物が絶対再建築が不可能とはいえない。
(2)本件建物は、建築確認を取得している。
(3)利息金の返還には応じられない。
(4)買主Xは10数年居住の利益がある。
本紛争事例の問題点
<本紛争事例の問題点>
(1)建築基準法上の接道義務に関する調査を行わなかった売主(宅建業者)Aと媒介(仲介)業者の説明義務違反の有無
(2)引渡しより15年後に発覚した説明義務違反と損害賠償責任の消滅時効の適用
本紛争事例の結末
<本紛争事例の結末>
判決では、売主(宅建業者)Aと媒介(仲介)業者の説明義務違反(不法行為)を認め、 買主Xの損害賠償請求を一部認めています。
(1)売主(宅建業者)Aと媒介(仲介)業者の説明義務違反
①宅地の売買においては、建築基準法上の接道関係は、再建築の可否並びに転売の可否及び転売条件等に大きく影響するものである。
Aは、本件売買契約の付随義務として、本件土地の接道状況についてXに対し説明する義務があった。
AとBは、宅建業者であり、売主及び仲介を業として本件売買契約に関与したものであるから、宅地建物取引業法第35条第1項により、それぞれ宅地建物取引士(当時は宅地建物取引主任者)をして、Xに対し接道状況につい て説明すべき義務を負っていた。
②本件土地は、接道要件を満たしておらず、再建築が困難な土地である。
ところが、本件売買契約書には、この点について何ら記載がなく、本件重要事項説明書には、本件土地の「北側が幅約6 mの公道に約3m接している。」旨が記載され、「新築時の制限」としては道路斜線制限等が記載されているのみで、接道要件との関係での建築の制限については全く記載されていなかった。
そして、Xは本件土地が接道要件を満たしておらず、再建築が困難であることについては説明を受けたことがなかった。
③したがってA・Bには、Xに対する説明義務違反(本件不法行為)があったことが明らかで、 A・Bは、本件不法行為と相当因果関係にあるXの損害について賠償責任(不真正連帯債務)を負う。
(2)買主Xの損害について
Xは、A・Bの不法行為によって、「本件土地の接道状況には間題はなく、再建築が可能である」と誤信させられ、本件売買契約を締結し、本件借入れを行った上、本件売買代金、及び本件借入れに係る利息金の支払をするに至ったものと認められます。
本件売買契約の締結は、Xが銀行借入れを行うことを前提とするもので、A・Bはこれを知っていたから、これらの金員の出捐は、本件不法行為と相当因果関係にある損害というべきであるとして、
①本件売買代金相当額と裁判所が認定した本件適正価格との差額
②本件借入れに係る各利息金相当額等
③合計/1,726万 4,536円の支払義務を認定した。
本紛争事例に学ぶこと
本紛争事例に学ぶことは・・・・
(1)「建築確認が得られているから再建築可能」と安易に判断することは危険です。
本件のように、接道状況などを偽って建築確認を得ている場合があり得るし、また、旧建築基準法第43条ただし書(現、建築基準法第43条第2項)により建築確認を得た建物においても、その後の法令等の改正により再建築が認められない場合や、再建築が認められても用途・規模等に関し制限がかかり、同規模の建物が建築できない場合があります。
建築基準法第42条の接道条件を満たさない物件の取引をする場合においては、現時点において建物の再建築が可能か、また可能である場合には用途・規模等に関して制限はないかについてまで、行政庁に確認を行っておく必要があるのです。
(2)業者の説明義務違反(不法行為)の時効は、損害及び加害者を知ってから3年、不法行為の時から20年とされています。(民法第724条)
昔の重要事項の説明にミスであっても、不法行為としての説明義務違反が認定されれば損害賠償の責めを負うことがあるのです。
(3)銀行借入れにかかる利息金の支払が、不法行為と相当因果関係にあると認定される場合もあるのです。
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