実現不明な計画道路についても売主業者及び媒介(仲介)業者に買主への説明義務があるとした紛争事例
今日ご紹介するのは、
道路計画による土地収用の可能性の存在は瑕疵にあたり、また、実現が不明な道路計画についても、売主(宅建業者)、及び媒介(仲介)業者に対し、買主への説明義務があるとされた紛争事例です。
裁判では、土地収用の可能生による損失として、売買金額と本来の評価額の差額を買主の損害と認めています。
紛争事例の内容(計画道路による土地収納の可能性と瑕疵)
(1)買主Xは、平成15年3月、売主(宅建業者)Aより新築戸建住宅を7,760万円(土地/5,680万円、建物/2,080万円)で媒介(仲介)業者Bの仲介により購入し、同年9月に引渡しを受けました。
(2)ところが、本件土地(約26坪)には行政の主要生活道路計画がかかっていたため本件建物の建築当時、行政は新築される建物については本件道路計画に合わせてセットバックするよう指導していた。
本物件周辺のいくつかの建物は指導に従って建築されていました
Aは、当該セットバック指導に従わず本件建物を建築し、Bも重要事項説明において「北東側公道にて生活主要道路(幅員10m)があります」と記載して説明したが、それ以上の具体的な道路計画の説明をXに対してしていなかった。
(3)平成16年春頃、Xは行政への問い合わせにより、本件土地の30%以上、及び建物の一部が主要生活道路計画にかかっていること知ります。
本件道路計画は、行政がその道路整備方針により整備を進めているもので、現時点では法的拘束力はないが、事業化されれば本件道路計画部分が収用され、建物の一部を取り壊さなければならないことなど具体的内容を知ったのです。
(4)Xは、本件道路計画の存在を前提とした適正価格との差額等2,250万円余を損害として、AとBに賠償を請求しました。
各当事者の言い分(意見陳述)
<買主Xの言い分>
(1)本件計画道路の存在は物件の瑕疵であり、 その説明がなかったのはAとBの説明義務違反である
(2)本件計画道路の存在を前提とした適正価格との差額等2,250万円余を損害額として請求する。
<売主(宅建業者)A・媒介(仲介)業者Bの言い分>
(1)本件計画道路は、まだ計画段階で実現未定ですので説明義務のあるものではない。
また、現在Xに損害の発生はなく、仮に本件計画道路が実施され収用されても行政より補償金が支払われるので本件計画道路の存在は暇疵とはいえません。
それに、Xに対しては重要事項説明書にて、主要生活道路の建設を示す記載もして、Bが口頭でも説明しています。
(2)本件主要生活道路のために本件土地が収用されたとしても、公用収用としてXには行政から補償金が支払われるので、Xの損害が顕在化、具体化したとはいえません。
本紛争事例の問題点
本紛争事例の問題点は、
(1)本件計画道路の存在が瑕疵にあたるのか、説明をしなかったことが説明義務違反となるか。
(2)重要事項説明書の記載内容が本件計画道路の説明として十分か。
(3)公用収用として買主に補償金が支払われる可能性があることをもって、損害が顕在化、具体化しているとはいえないのか。
本紛争事例の結末
原審は、A・Bの説明義務違反を認め、1,120万円余の損害賠償の支払いを命じましたが、両者はこれを不服として控訴しました。
その後、BはXと原審の内容で和解しています。
控訴審判決は、以下の内容でAの控訴を棄却しました。
(1)本件建物の建築当時、行政は新築される建物については本件計画道路に合わせてセットバックするよう指導しており、本物件周辺のいくつかの建物は指導に従って建築されていた。
しかし、Aは当該指導に従わず本件建物を建築して買主に引き渡していた事実等から、本件計画道路が実現すると、本件土地の30%以上が収用され、一体として購入した本件建物も存続の危険にさらされる具体的な可能性があったと見るべきである。
(2)本件計画道路による収用及びその可能性は、A・BはXに対して重要な事実として説明するべき内容で、説明していないことは瑕疵といえる。
(3)A・Bは、本件道路計画の具体的な内容をXに説明をしたとは認められない。
(4)不動産鑑定士により、
土地収用の可能生による損失としては契約当時の本件土地の評価額 5,100万円の20 %が妥当と判断されていることから、本件におけるXの損害額としては、評価損として1,020万円、弁護士費用としてその1割分の100万円、合計1,120万円を原審どおり認める。
本紛争事例に学ぶこと
本紛争事例は、
主要生活道路計画のように、まだ法的拘束力がなく実現性が不明な計画であっても、買主の購入目的に重大な利害関係を持つ事実であれば、宅建業者である売主、及び媒介(仲介)業者の説明すべき重要な事実、買主にとっては瑕疵にあたるのです。
そもそも売主業者は、
行政の指導に従った建築をすべきであり、少なくとも、将来生じ得る法律的問題があると認められる場合には、その具体的な問題点を買主に十分説明し、その問題点の存在を認識させ、解決できてから契約を締結する必要があるのです。
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