売買対象土地に地中埋設物が発見された場合の説明不足が原因で起こった紛争事例
今日ご紹介するのは、
宅建業者である売主と個人である買主の間で締結された土地売買契約で、土地の引渡しから約5年後に地中埋設物等の存在が確認された紛争事例です。
買主が、売主、及び買主側の媒介(仲介)業者に対して「地中埋設物」について説明義務違反等があったとして損害賠償責任等を追及しました。
裁判所は、売主の説明義務違反を認めましたが、媒介(仲介)業者の調査・告知義務違反は認めなかった事例です。
紛争事例の内容
<紛争の内容>
(1)宅建業者A(後に売主となる)は、既存建物が存在する土地(以下「本件土地」という)を取得し、解体業者Kに委託し建物を解体した上で、本件土地を売却した。
(2)買主Xは、媒介(仲介)業者Bに仲介のもと本件土地を購入しるためAとの間で売買契約(以下「本件売買契約」という) を締結した。
本件売買契約に係る重要事項説明書や物件状況等報告書に、「敷地内残存物、旧建物廃材、建築廃材、浄化槽、井戸」という欄にチェックはされていなかった。
本件売買契約には、 2年間の瑕疵担保責任、及び「本件土地上に建築物を建築する際、地耐力強化のための地盤改良工事等が必要となる場合であっても、この費用等については、買主の責任と負担で処理する」との特約(以下「本件特約」という)が約定されていた。
(3)本件土地の引渡しから約5年後、Xが本件土地上に建物を建築するために土地の調査を行ったところ、本件土地から、解体された建物の土間スラフやコンクリートガラ、鉄骨、井戸等の地中障害物が確認された。
そのため、Xは、当初予定していた地盤改良工法より高額になる別の工法を採用する必要があり費用負担を余儀なくされた。
(4)そこで、XはAに対し、上記地中埋設物等の存在を告げず、さらに「旧建物の基礎、建築廃材、浄化槽及び井戸等の敷地内残存物が存在しない」とする物件状況等報告書を提出したため、説明義務違反に基づく損害賠償責任があり、
また、Bに対し、本件土地に地中埋設物等があるかどうかについて調査をして告知・説明する義務を負っていたのに怠ったとして、地盤改良工事の変更により生じた費用等の損害賠償を求め、訴訟を提起した。
各当事者の言い分(意見陳述)
<買主Xの言い分>
(1)Aは、既存建物が存在した状態で本件土地を購入しており、その従業員が既存建物の取り壊しに立ち会ったのだから、地中埋設物等が残置されていることを把握していた。
にもかかわらず、これをXに告げず、むしろ、本件土地について、地中埋設物等が存在しない旨の物件状況等報告書を提出しており、説明義務違反、及び暇疵担保責任を負う。
(2)Bは、Xが自宅を建築する目的で本件土地を取得することを知っていたのだから、本件土地に存在し、建築の障害となるような地中埋設物等の存在について調査をして、告知、説明する義務を負っていたのにこれを怠ったのだから、Bには調査、告知義務違反がある。
<売主Yの言い分>
Aは、地中埋設物等が存在することについて認識していなかったし、 認識していないことについて過失はない。
<媒介(仲介)業者Bの言い分>
Bは、地中埋設物等が存在することについて認識していなかったし、地中埋設物等の有無等について具体的な調査能力を有しないため、調査義務が生じることはなく、Xの主張する義務違反はない。
本紛争事例の問題点
本紛争事例の問題点は以下の3点です
(1)売主(宅建業者)Aの説明義務違反の成否
(2)本件特約に基づく売主(宅建業者)Aの説明義務違反の免責の成否
(3)媒介(仲介)業者Bの調査、説明義務違反の成否
本紛争事例の結末
まず、裁判所は、Aの責任について、
Aが地中埋設物等の存在を知っていたとは認定しなかったが、物件状況等報告書の作成等を通じて、売買の対象となる土地の状況について正確な情報を告知説明する義務を負っており、地中障害物が残存していることを把握し得たにもかかわらず、Kと密に連絡をとることなく、物件状況等報告書を作成したと推認されると指摘。
よって当該告知、説明する義務の履行を怠ったものとして、Aの損害賠償責任を認めた。
なお、本件売買契約においては、本件特約が合意されていたが、裁判所は、本件地中埋設物等が存在することとなったのはAの責めに帰すべき事由によるものであるところ、本件売買契約を締結する際にXが地盤改良工事に要する費用等を考慮して売買代金額を決したとはうかがわれないこと等を考慮すると、本件特約によって本件におけるAの損害賠償責任が免責されることはないと判断した。
また、裁判所は、Bの責任について、Bが重要事項説明を行い本件売買契約を締結する時点において、本件土地は既に更地化されており、また、売主であるAより物件状況等報告書において敷地内残存物はない旨の説明を受けている状況において、Bが独自の追加調査を実施する義務を負っていたとはいい難いとして、Bの法的責任を否定した。
本紛争事例に学ぶこと
本紛争事例は、
宅建業者が土地を更地化して売却する際に、当該更地化の工事に暇疵があり、結果として、買主に損害が生じた場合、売主である宅建業者に損害賠償責任が認められた事案になります。
裁判所は、
売主(宅建業者)が地中埋設物等の存在を知らなかったことを認めた上で、売主の自らの過失により、当該地中埋設物等について認識していなかったにもかかわらず、地中埋設物等が存在しないかのような説明を行っていたことを重く見て、その法的責任を認めています。
また、本紛争事例では、媒介(仲介)業者の調査、説明義務違反についても係争されています。
裁判所は、媒介(仲介)業者は更地化が完了した後に取引に関与したものであるとして、法的責任を否定していますが、これは致し方ない判決だと思います。
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