不動産売買における瑕疵担保責任 売主が個人と不動産業者では、その責任の範囲と期間が異なります
不動産の売買契約では、売主が負う「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」の責任の範囲と期間には注意してください。
民法第570条では、中古住宅などを購入した買主が、隠れた欠陥に気づかず、購入した後にトラブルとなった場合、その責任は誰にあるかという問題について規定しています。
また、その責任の範囲や期間は、売主が個人なのか、不動産業者なのかによって異なります。
そこで今日は、
売主が個人か不動産業者によって異なる不動産売買での「瑕疵担保責任」について書きたいと思います。
瑕疵担保責任とは、どのような規定なのでしょうか?
「瑕疵担保責任」とは、売買対象の不動産に隠れた傷や欠陥があったとき、売主が買主に対して負う責任のことです。
買主は、隠れた傷や欠陥が発見された場合、売主に対して、補修や損害について賠償を求めることができます。
また、そのまま住み続けることができないような重大な欠陥があった場合には、契約の解除ができます。
この責任を適用できるのは、法的には買主が「善意・無過失」であることが要件とされています。
「善意・無過失」とは、買主が傷や欠陥があることを知らなかった場合で、かつ知らなかったことについて落ち度がない場合のことです。
買主が知っていた傷や欠陥に対しては、瑕疵担保責任は適用されないと言うことです。
瑕疵担保責任を追求できる期間と売買契約書への記載
民法では、買主が売主に瑕疵担保責任を追及できる期間について、買主が「瑕疵を知ったときから1年以内」に制限されています。
売買契約を締結したときではなく、買主がその瑕疵について気づいたときから起算するのです。
また、瑕疵の範囲についても取決めがありません。
買主にとっては、購入後も欠陥が見つかれば賠償請求ができるので安心です。
しかし、売主にとっては、自分たちも把握していない瑕疵が、いつ見付かり、いつ賠償請求されるかわからないという不安な状況が永遠に続くことになるのです。
ただし、民法の瑕疵担保責任は強制規定ではなく任意規定ですので、
売主が個人の場合は、不動産売買契約の瑕疵担保責任の対象となる範囲や責任期間などは、契約書や特約により、別に定めることができます。
売主が個人の場合の瑕疵担保責任
売主が個人の場合の不動産売買契約では、瑕疵の範囲や責任の期間を自由に取り決めることができます。
例えば、
中古住宅などの場合などで、瑕疵の範囲を「構造耐力上主要な木部の腐食、シロアリの被害、雨漏り、給排水管の故障」に限定したり、
責任期間を「物件の引渡し後3ヶ月」にするなどの取り決めができます。
また、古い建物の場合は「売主は建物については、一切、瑕疵担保責任を負わない」という特約を付す場合もあります。
この取り決めは、売主と買主の間で交わすものですので、契約書の記載方法や特約内容については十分に注意をしてください。
※ことらもご覧ください!
令和2年4月1日に施行される新民法についてです。
不動産売買の瑕疵担保責任が変わります! 120年ぶりの民法改正は売主様にとって厳しい内容です!
売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合の瑕疵担保責任
売主が個人の場合とは異なり、
不動産会社(宅地建物取引業者)の場合は、宅地建物取引業法において次のように規定されています。
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、買主に不利となる特約をしてはならない、と規定しています。
また、買主に不利になる特約にした場合は無効になります。
例えば「瑕疵担保責任免責」や「瑕疵担保責任1年」とする特約は無効となり、民法の規定が適応されます。
つまり、2年ではなく、買主が瑕疵を発見してから1年以内になるのです。
まとめてみました!
不動産の売買では、瑕疵担保責任を巡るトラブルが非常に多いのです。
売主が知っていたのにも関わらず隠していたような物件の瑕疵については、どのような契約や特約をしていたとしても売主は責任を負わなければなりません。
売買契約においては、売主は「付帯設備表や物件状況確認書」で事前にできるだけの情報を提供し、買主は十分に物件を確認し、契約前に情報を共有し、細かな部分まで把握しておく必要があります。
そのためには、どうしたら良いのか?
是非こちらもご覧ください!
●不動産取引においての一番多いのは、付帯設備についてのトラブルです
●不動産売買契約の当日に物件状況確認書の記入を求められ、売主様が怒ってしまい契約が延期に!
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