境界の明示:不動産売買契約書第4条:この条項は、買主に売買対象物件の範囲を認識してもらうことが趣旨です。
(境界の明示)
第4条 売主は、買主に本物件引渡しのときまでに、隣地との境界を現地において明示する。
この条項は、売買契約締結後、物件の引渡しまでに、売主様が買主様に対して、現地で境界を指示して隣地との境界を明示することを定めた内容です。
明示(めいじ)とは、『はっきりさせる』という意味です。つまり、買主様に売買対象物件の範囲を認識してもらうことが趣旨です。
境界票がないときは、・・・
売主様は、現地で境界標を指示することで、境界を明示しなければなりません。
境界標がないときは、売主様は、土地家屋調査士などの資格ある者に依頼して、新たに境界票を設置する必要がでてきます。
思い込みは、後日のクレームのもと。慎重には慎重に!
一般的に売主様は、『自分自身が、ここが境界だと認識しているところ』を明示すれば問題ないと思い込んでいることがあります。これが、後日、大きなクレームになることがあります。
隣地との間に境界標や塀などがあり、また、隣地所有者との間で特に争いがないとしても、隣地所有者との立会を省略して明示してしまうと、実際の確定した境界と異なり、大きなクレームに発展してしまうことがありますので、注意が必要です。
境界の確定は、売買契約の締結前におこなうことが原則です
境界の確定は、売買の対象不動産の範囲を特定することが目的です。
契約締結後に対象の範囲が異なることが判明すると、必ずクレームになります。ですから、境界の確定は、売買契約締結前、できれば、販売活動開始前をお勧めします。
そして、境界確定において、一番大切なことは、利害関係のある隣接地所有者同士が、『境界はここだ!』と、分かり合い、納得し合っていることです。
境界確認、確定の方法
①境界標がある場合:境界標には、コンクリート標、石標、木杭、金属鋲、金属標など、いろんな種類がありますので、現地で、どの境界標が、対象不動産の境界点なのかを確認します。
比較的新しい開発分譲地や、確定測量図(官民査定済)の物件で、境界標がはっきりと確認できる場合でも、念のため、地積測量図等を基に、境界標間の距離を、メジャー等で測り確認します。
②境界標がないが、あるいは、確認できない場合:物件によっては、境界票がない場合があります。また、境界票の上に塀や工作物等があり、境界票の一部が確認できない場合もあります。
境界票がないか、確認できない場合は、売買契約締結前に隣地所有者の立会いを得て、土地家屋調査士等の資格ある者の測量による測量図を作成しておくべきでしょう。
③境界争いがある場合:売主様への聞き取りの結果、境界争いがあることが判明した場合は、その原因を明確にしたうえで、境界票を設置、復元してから、契約を締結する必要があります。
隣接地所有者との話し合いがつかない場合は、弁護士等に相談するようにお勧めします。
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