不動産売買契約書の解説 第9条「物件状況の告知」
第9条「物件状況の告知」
売主は、本物件の状況について別添「物件状況確認書(告知書)」にて買主に告知するものとする。
この条項「物件状況の告知」は、
買主にとっては、物件の状況を隅々まで把握することは困難なので、契約締結時の状況等について、売主から買主に対し「物件状況確認書(告知書)」を使って説明することを定めたのが、この条項の内容です。
買主は一回または数回見ただけでは物件の本質的な判断はできません
買主が、不動産の購入を検討する際、
物件の特性そのものが買主の希望条件に合致しているかどうかが重要な要因になります。
あわせて、
周辺環境や利便性等、様々な要素を総合的に勘案し、意思決定するのが一般的です。
しかしながら、
物件を一回、または数回見ただけでは、外形上の判断はできたとしても、物件の本質的な判断ができるとは限りません。
「その事実を知っていたら購入しなかった」は最悪のケースです!
買主が、数度の内覧(内見)では確認できなかった物件の状況が、後日発見された場合、その取り扱いを巡ってトラブルになりがちです。
例えば、
物件に重大な物理的な不具合があったのにもかかわらず、物件の購入前に知らされていなかった場合は、買主に予定外の出費や利用上の制約が生じることになります。
また、
購入動機に影響を及ぼす可能性が高い周辺環境、例えば近隣の建築計画や、心理的な事項、例えば自殺等が有る場合、
買主にとっては、
その事実を聞かされていれば、知っていたら購入はしなかった場合もあります。
物件状況確認書(告知書)は将来のトラブル発生の可能性を低くすることができます
このように、
買主にとって物件の状況を把握することが容易でないことから、契約締結時の状況等について、売主から買主に対し
物件状況確認書(告知書)により説明することを定めたのが、この条項の内容です。
売主から買主へ、物件状況等の売主の知り得る情報について、物件状況確認書(告知書)により、正確かつ漏れなく開示、交付することで、将来のトラブル発生の可能性を低くすることができます。
物件状況確認書(告知書)作成の留意点
物件状況確認書(告知書)は
買主の購入の意思決定における重要な書類です。
そして、その作成には、時間と手間がかかります。
また、売主は、買主に対して、物件の状況を早い時期に知らせる必要がありますので、仲介業者と媒介契約を締結して、販売活動を開始するまでに作成することをおすすめします。
もちろん、
仲介業者にも、物件の状況を確認する義務がありますので、一緒に作成することをお勧めします。
そして、
購入希望者が内覧に来るときには、その内容を説明できることがトラブル回避の第一歩になるのです。
以下は、土地建物公簿取引用(売主一般消費者)の売買契約書の各条項の一覧です。
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土地建物公簿取引用(売主一般消費者用)の各条項
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