不動産売買契約書の解説 第2条「売買対象面積」
第2条「売買対象面積」
売主及び買主は本物件の対象面積を標記面積(A)とし、実測面積との間に差異が生じても互いに異議を申し立てないとともに、売買代金増減の請求をしないものとする。
この条項「売買対象面積」は、売買する対象物件の範囲を確定するための内容です。
売買対象となる不動産を明確に特定する条項です
全部事項証明書(登記簿)、地積測量図、建物図面などと、実際に現地の状況と照らしあわせて確認し、売買の対象となる土地・建物を明確に特定することが必要になります。
土地については、
全部事項証明書(登記簿)、地積測量図に基づく記録と、実際の利用範囲に違いはないか、
建物についても、
全部事項証明書(登記簿)、建物図面どおりの建物であるかについて、確認することが必要になります。
公簿取引とは?
このブログでの解説は「売主一般消費者で土地建物公簿取引用」の売買契約書を用いて説明をしていますので、ここで「公簿取引」について解説します。
「公簿取引」とは、全部事項証明書の記載面積を基準とした価格で取引を行い、実測(実際に測量)した面積がその登記記録面積と相違していても価格の増減清算は行わないとい、という取引方法です。
ここで注意して欲しいことは、
公簿面積と実際の面積が、ほぼ一致しているかどうか、ということです。
例えば、公簿面積が200㎡に対して、実際の面積が180㎡だとします。
もし、あなたが買主の立場なら、どう思いますか?
はじめから、20㎡も面積が少ないのであれば、買わないですよね。
不動産業者の中には、現地でテーピング(簡易な測量)すら行わず、公簿取引だから実際の面積と違っていても大丈夫だと安易に考えている業者がいるのです。
価格の精算はしなくてもいいと契約書に書いているのだから文句は言うな、という考え方ですので、本当に注意してください。
公簿取引で契約を進めて行く場合は、
全部事項証明書の面積と実際の面積に相違が無いかを必ず仲介業者に確認してください。
相違がないとの回答であれば、
簡易でもいいので実際に現地を測量したのかも併せて確認してください。
曖昧な回答が返ってくるようでしたら、その契約をやめるか、実測取引に変更することをおすすめします。
実測取引とは?
公簿取引に不安を感じたのであれば、「実測取引」に切り変える必要があるかもしれません。
「実測取引」とは、土地家屋調査士等の有資格者に依頼して実際に測量を行い、その面積で価格を決定して取引を行うというものです。
契約締結時に、実測面積が確定していれば、その面積に単価を掛けた価格で売買契約を締結します。
契約締結時に、実測面積が確定していなければ、公簿面積に単価を掛けた価格で売買契約を締結し、引渡しまでの間に測量します。
その測量で得た面積に契約時にとりきめた単価(契約締結時に取り決めた売買価格は「公簿面積×単価」です)を掛けて売買代金の精算を行います。
実測面積が公簿面積よりも広ければ売買代金は高く、狭くなれば安くなります。
例えば、
公簿面積200㎡、単価165,000円/㎡の場合、契約時の売買価格は3,300万円
実測面積が180㎡になった場合、単価165,000円を掛けると2,970万円
差額330万円を残代金支払い時に精算する、というものです。
付帯物の取扱いにも十分な注意が必要
表2 付帯設備表の付帯物については、庭木、庭石、エアコン、じゅうたん、照明器具、物置等について、売買対象に含めるのか含めないのかも、確定しておくことが必要です。
また、売買対象物件ではありませんが、マンションの駐車場や、近隣で契約している駐車場を使用する権利を引き継ぐことができるのかについても、必要に応じて確認しておいた方が良いでしょう。
以下は、土地建物公簿取引用(売主一般消費者)の売買契約書の各条項の一覧です。
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土地建物公簿取引用(売主一般消費者用)の各条項
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