不動産売買契約書の解説 第10条「付帯設備の引渡し」
第10条「付帯設備の引渡し」
1.売主は、別添「付帯設備表(表1・表2)」のうち「有」と記したものを、本物件引渡しと同時に買主に引渡す。
2.売主は、前項の付帯設備の故障や不具合については、修補・損害賠償その他一切の責任を負わないものとする。
この条項「付帯設備の引渡し」は、
売買対象となる物件の付帯設備に関する状況等がどのような状態であるか、また、どのような状態で買主様に引渡すのかを明確にする内容です。
設備の有無、故障不具合の有無は、将来のトラブル防止
不動産の売買契約では、
売買対象となる物件の設備に関する状況等が、どのような状態であるか、どのような状態で買主様に引渡すのかを明確にしておく必要があります。
この条項の付帯設備表は、
対象となる物件の設備について「水まわり」「居住空間」「玄関・窓・その他」に区分しています。
「設備の有無」の欄は、
売買対象となる設備を明らかにするものであり、売主様が「有」とした設備が引渡しの対象となります。
この場合「有」と記入した設備に関して、
故障・不具合等がある場合は、将来のトラブルを防止するためにも、その状況を備考欄に記入していただきます。
ただし、故障不具合が有る場合、買主様から撤去を依頼されることもあります。
その場合の撤去は、売主様の費用と負担で行っていただきます。
付帯設備を引渡す時点の全ての状況を記入し伝える
また、故障や不具合の他、
買主様に伝えておいた方が良いと思われる事項についても、備考欄に記入していただきます。
「設備の有無」は、
買主様に対象物件を引渡す時点の状況を記入するものであり、売買契約締結時点の状況を記入するものではありません。
このため、
売買契約時には存在していた設備であっても、引渡しまでに撤去する設備については、「設備の有無」の欄では「撤去」に該当します。
付帯設備の付帯機能も記入
また、設備ごとに
付帯する機能を記入する欄を設けていますので、設備に付帯機能がある場合は、該当する付帯機能を記入していただきます。
付帯設備については、
主な設備をあらかじめ記載していますが、記載されていない設備があれば、書き加えることで買主様にお知らせください。
善管注意義務をもって契約時の状況を保持
売主様は、
買主様へ引渡す付帯設備については、引渡すまでの間は、「善良なる管理責任者としての注意義務」をもって、契約時の状況を保持していただきます。
故障・不具合が無いとした設備は、
使用可能な状態で引渡すことを、売主様に義務付けています。
また、
この付帯設備表も物件状況確認書(告知用)と同様、販売活動開始前に作成することをお勧めします。
「善良なる管理責任者としての注意義務」とは
「善良なる管理責任者としての注意義務」は、
「善管注意義務」とも言われていて、取引上において、一般的・客観的に要求される程度の注意をしなければならないという注意義務のことです。
民法第400条では、
特定物(中古車・美術品・建物のようにその物の個性に着目して取引される物のこと)の引渡しの義務を負う者は、その引渡しが完了するまでは、その特定物を「善良なる管理者としての注意義務」をもって保存しなければならない、と定めています。
善管注意義務よりも軽い注意義務に
「自己の財産におけると同一の注意をなす義務」(民法第659条)
「自己のためにすると同一の注意をなす義務」(民法第827条)
というものがあります。
つまり「善管注意義務」は
「自己のために自己の財産を取り扱う以上の注意」ということになりますので、ある意味、相当注意しなければならないことを覚えておいてください。
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