不動産売買契約書の解説 第13条「公租・公課の負担」固定資産税等の清算
第13条「公租・公課の負担」固定資産税等の清算
1.本物件に対して賦課される公租・公課は、引渡し日の前日までの分を売主が、引渡し日以降の分を買主が、それぞれ負担する。
2.公租・公課納付分担の起算日は、標記の期日(D)とする。
3.公租・公課の分担金の清算は、残代金支払時に行う。
この条項は、
「公租公課」、つまり固定資産税・都市計画税を、売主と買主とで、どのように分担するかを定めた内容です。
公租公課とは、
国や地方公共団体に収める負担である税金や保険などのことをいいます。
現に使用している人が、税金などの負担をするのが公平である、という考え方に基づき、使用の分かれ目である、引渡し日を基準にし、
引渡し日の前日までの分を売主に、引渡し日以降を買主に、それぞれ負担させることを定めているのです。
納税義務者(税金を支払う人)は誰?
納税義務者は、
所有権者であるかとうかを問わず、その年の1月1日現在の登記名義人になります。
つまり、
納税通知書の名義人である売主様ですので、
買主様が税金の清算金を売主様に支払うことにより、この清算を完了させます。
起算日と清算方法について
この条項の2で、
起算日は、「標記の期日(D)とする」となっています。
これは、地域による商慣習で起算日が異なるからです。
おおまかに分けると、
関西圏では「4月1日」、関東圏では「1月1日」となります。
つまり、
今年の4月1日から来年の3月31日までの365日か、
今年の1月1日から12月31日までの 365日かの違いです。
過去には、
関東圏から関西圏に引越しをされる方で、
起算日の違いでトラブルになることもありました。
ですから、
この条項では、わざわざ、
起算日は「標記の期日(D)」とすることで、
確実に説明をし、納得していただけるようにしているのです。
納税通知書は、いつごろ届くのですか?
納税通知書は毎年4月から5月に、1月1日現在の登記名義人宛に郵送されてきます。
納税通知書の到着後であれば、通知書の年税額で清算ができます。
ただし、
同じ税務事務所管内に複数の不動産を所有している場合は、その全ての不動産の年税額が1通の納税通知書で送られてきますので、
不動産ごとの内訳を確認する必要があります。
納税通知書が送達される前に引渡し時期を迎える場合の清算方法は?
それでは、
納税通知書が送達される前に
引渡し時期を迎える場合の清算方法は、
どうすれば良いのでしょうか?
もちろん、
売主様と買主様との協議が必要となるのですが、
代表的な方法を書いておきます。
1.納税通知書送達後に清算する
2.前年の年税額で清算する
3.前年の年税額で仮に清算をおこない、
納税通知書送達後に再度清算をおこなう
ここで、前年の年税額で清算する場合の注意点です。
対象不動産が「税額軽減の特例措置」を受けているときは、その特例適用年限に注意が必要です。
前年が、軽減の最終年のとき、今年は、税額が大幅に増加するからです。
税額軽減の特例措置については、市町村役場、都道府県税事務所等で確認してください。
消費税課税事業者が売主(不動産業者等)の場合の清算についての注意点
不動産の売買に際しては、
引渡日を基準にして固定資産税等を日割清算し、
買主から売主へ、未経過分を清算金として支払うことが通例です。
しかし、
売主が、消費税課税事業者である場合、
この清算金のうち、建物にかかるものは、
「建物の譲渡対価の一部を構成するもの」として、
課税売上に該当するとして取り扱われます。
ここからが重要になります
不動産売買の際に、固定資産税等の未経過分を、買主様が分担する金額は、固定資産税、都市計計画税そのものではなく、
売主様と買主様の合意に基づいて行う利益調整のための金銭で、不動産の譲渡対価(売買代金)の一部になり課税の対象になるのです。
課税対象ということは、消費税課税の対象になるということです。
したがって、清算金のうち、
「建物にかかる部分については、別途消費税等」が課せられることになります。
建物にかかる固定資産税等が100,000円の場合、
消費税等が課せられると110,000円で清算することになります。
以下は、土地建物公簿取引用(売主一般消費者)の売買契約書の各条項の一覧です。
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土地建物公簿取引用(売主一般消費者用)の各条項
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